海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・ドイツ)7月 竹本圭翔さん
掲載日:2024.08.05
循環農学類4年 竹本 圭翔
ドイツに渡航してから2ヵ月が経ちました。日本にいる友人から毎日のように、「日本は暑くて大変だ」と聞いています。それに比べ、ドイツの夏はそれほど気温が上がらず、昼間でも22度程度で過ごせています。また、夜は必ず気温が下がるため、日本のような寝苦しい日々を送ることはありません。ただし、睡眠時に現れるドイツの蚊の一撃は強力です。刺された翌日は驚くほど刺された部分が腫れます。それだけがドイツの夏の嫌なところです。さらに、日本に比べ夏は日が長いため、21時になっても外は明るいです。仕事で疲れた日は21時に床に就くため、外が明るい中で寝るのは不思議な感覚です。
実習が1ヵ月を過ぎてから、一人で任される作業が多くなりました。特に大変だったのは、一人で600頭の搾乳をしたことです。ここの牧場では基本的に搾乳を一人で行います。今まで私は搾乳者の手伝いをしていましたが、急遽シフトに欠員が出たため、人手が必要となり、私が搾乳を任されることになりました。その時、「自分一人でそんなことはできない、無理だ」と思いました。なぜなら、日本でも一人で搾乳をしたことがない自分が、600頭の牛を一人で操るなんてできるわけがないと思ったからです。しかし、そんなことをシェフ(社長)に言うわけにはいきません。私は考え方を変え、任されるということは信頼されているということ、期待されているということだと思い、今まで自分がメモ帳に書いてきた内容を見ながら確実に作業を進めました。そして、無事に一人で600頭の搾乳をこなすことができました。搾乳が終わったのは夜の12時でした。達成感に満たされて空を見上げると、きれいな星空が一面に広がっており、一気に仕事の疲れが吹き飛びました。
2ヵ月が経過して少しずつドイツ語にも慣れてきましたが、まだほとんど聞き取れないのが現状です。自分の現状を理解しているのに、最近は仕事終わりにドイツ語の勉強に身が入っていない自分を反省しています。
6月の末にはスイスで春季会合が開かれました。私も参加しました。これはJAEC主催のもので、スイスの農家さんのもとに泊まり、スイス文化に触れるものです。語学学校以来にJAECメンバーと再会し、全員が元気でいることに安心しました。同時に、久しぶりに日本語を話すことができたことに感動しました。会合が開かれた夜は、メンバーみんなでお酒をたしなみながら、各々の農家さんのことやドイツ語のことなど、とにかくたくさん話しました。とても楽しいひと時で、思い出に残る時間でした。会合が終わってからは、メンバー全員でスイスの首都ベルンに行きました。スイスはどこを見ても景色が美しかったです。昼食はレストランでグラタンとビールを楽しみましたが、円安とスイスの物価高のため、日本円で5000円もしました。驚きましたが、味は美味しかったので満足でした。その後、ベルン市街を巡り、スイスを堪能しました。
スイス会合が終わって1週間後、村のお祭りがありました。お祭りでは、午前中に村のストリートを何台ものトラクターでパレード行進し、午後は別会場で演奏や出店がありました。私は自分の農場の看板を掲げたトラクターを運転し、パレードに参加しました。夜には花火が打ち上げられ、とても夏を感じました。これもまたドイツでの素敵な思い出になりました。
まだ2ヵ月しか経っていませんが、慣れてきた時が一番油断禁物だと思うので、気を引き締めて、今月も実習に励みたいと思います。
竹本さんの報告書
2024年