シラルトロ湖の変貌を解く。最新技術で解明した「ヒシ拡大」の科学的真実
掲載日:2026.04.01
40年の衛星データが、湿地の「声」を可視化する。
「ヒシがヒシを育てる」驚きのメカニズムを解明。
シラルトロ湖修復への新たな指針。
〜釧路湿原・シラルトロ湖 × 環境地球化学研究室:
湿地生態系・多角的動態解析プロジェクト〜
【この活動のポイント】
- 最新鋭の統合調査: 衛星画像、GIS、共同研究先のUAV(ドローン)、さらには自律走行型ロボットボートを組み合わせた、日本屈指の精密観測。
- 通説を覆す発見: 流域からの外部負荷(農地拡大等)ではなく、湖内での「ヒシの枯死 ➔ 湖底の浅底化 ➔ さらなる繁茂」という内因的な連鎖を特定。
- 実効性のある対策提案: 科学的根拠に基づき、堆積物管理や湖底環境改善など、湖内プロセスに直接アプローチする具体的な保全策を提示。
【活動紹介】
釧路湿原・シラルトロ湖で今、何が起きているのか?
美しい景観を誇る釧路湿原内のシラルトロ湖では、近年、水生植物「ヒシ」の異常な拡大が深刻な課題となっています。環境地球化学研究室では、この現象の真相を探るため、過去40年間にわたる衛星画像の解析と、最新テクノロジーを駆使した多角的な研究を実施しました。
「外因」ではなく「内因」。科学が導き出した意外な答え
長年の土地利用解析により、周辺の森林減少などの外部要因は主因ではないことが判明しました。 核心は湖の中にありました。高密度な面的調査の結果、ヒシが枯死して湖底に沈み、それが翌年の「生育土台」となって湖をさらに浅くし、よりヒシが育ちやすくなる――という、自己増殖的な「正のフィードバック」が働いていることを突き止めたのです。
「知の力」で、湿地の未来をデザインする
この発見は、これまでの環境保全の考え方を大きく変えるものです。 流域全体を規制するのではなく、湖底の堆積物管理や浅底化の抑制など、湖内プロセスにピンポイントで対策を打つことが最も効果的である。この科学的エビデンスは、シラルトロ湖、そして世界の湿地保全における重要なマイルストーンとなります。私たちは、フィールドとテクノロジーを繋ぎ、確かなデータでかけがえのない自然を守り続けます。


