アルバータ大学オンライン留学プログラム(春季)報告書(竹村さん)

掲載日:2022.04.18

2021年度 春季 カナダ・アルバータ大学オンライン留学プログラム 報告書

農食環境学群 環境共生学類3年 竹村 風力(Fukuo Takemura)

 

私は初めてこの留学プログラムを知った時に、これから留学はオンラインが主流になっていくのかな、と思いました。私は幸運にも、新型コロナウイルスが猛威を振るう1年前に、海外研修に参加することができていました。ただ、今年度は国外へはもちろんのこと、道外にすら出ることがありませんでした。今となって考えると、この2021年度の最後に、このようなプログラムに参加することができたのは、これからの私にとって、大きな意味があったと思わざるを得ません。

実は私は当初は、正直なところ、このプログラムに参加するかすごく悩んでいました。きっかけは、進学を考えていたところ、英語の力をあげることが必要という結論になり、ゼミの先生にこちらのオンライン留学プログラムを紹介していただきました。楽しみつつ英語も学べるので良い機会だと思いましたが、私が過去に体験したオフライン留学-つまり、普通の留学と比較して考えてしまいました。家から出席できるのは大きな特徴でありメリットですが、その国の風土を肌で感じられるわけではありませんので、魅力は半減してしまうのかもと不安になりました。しかし、オンラインでの留学というものがどんなものか、本当に分からなかったので、手探りで挑むという形での参加になりました。

環境を専門とし、野生動物コースの学生にとって、カナダという国は大自然の魅力があふれています。しかし、アメリカの一部でもあるアラスカの情報と間違えてしまっては失礼なので、事前に違いなどを調べました。おもしろいことに、主体的に学ぶきっかけになりました。担当してくれたアンドリュー先生は、出身がイギリスで、家族はインド系だそうです。特別授業の会話クラブの顧問でもあった、ズザナ先生は、スロバキアの出身でした。この一部分の方々しか見ていないですが、それを切り取っても、カナダは多様性が豊かだと再認識させられます。英語の他にも、フランス語が使われています。私の中のイメージですが、語学留学だと、カナダ、ニュージーランド、ロンドンなどが人気な感じがあります。海外からの自分が溶け込めるくらいの多様な人がいると、過ごしやすいのかもしれません。ただ、私は、まわりの日本人が自分一人でも、逆に冒険の挑戦のようで楽しめます。今回は、学ぶフィールドが慣れ親しんだ我が家というだけでなく、仲間の日本人も多くいたので、サバイバルのような感じではありませんでしたが、初めの数日は、何が宿題か分からず、家の中で遭難したような気持ちになりました。

昨今人と会う機会が減った影響で「グループ学習」の場が失われたように感じます。話そうと思えば、LINEやメールで簡単にできますが、意欲が少しずつ薄れているのかもしれません。いくつかの大学のオンライン授業では、ブレイクアウトルームに分かれて意見を述べ合う場がありました。しかし毎回意見が活発に飛び交うわけではありません。先生が見てないからではなく、学生同士が互いに深い交流がないから、また切迫した必要性に駆られないからだと思います。その点を考えると、今回の留学は大成功でした。まず、課題ややるべきことがお互いにあまりよく分かっていない状態で出会ったので、知らない人だから話しかけにくいという心のバリアを気にしているひまはありません。学年や出身校もバラバラで、画面越しでしか会っていないですが、一緒に助け合いながら試練を乗り越え、絆が深まったのかもしれません。本当に解説してくれる先生がたくさんいる訳ではないので、勿論アンドリュー先生が話してくれましたが、英語なので、例えるなら自動運転のレールの上を走っているではなく、自分で漕ぐボートレースでした。これは自分の怠けですが、多くのrakuno e-learning の課題は一週間以内に手をつければよかったので、ゆっくりと取り組んでいましたが、毎日毎日次の日までの宿題が出るので、常に忙しい2週間でした。

やることの一連の流れはe-class というほとんどrakuno e-learning と同じようなサイトに毎日予習のファイルがアッロードされ、それをやりつつ10時からの授業が終わった後はリフレクションを書いて提出しました。ちゃんと先生からのコメントもついて返ってきます。リフレクションを次の日の朝にやろうとすると、この日の夕食の写真を撮りなさい、という課題が出て、つまり昨日のうちにやらなくちゃいけないものもあって、注意が必要です。途中でふと思ったのですが、リアルタイムのカナダの学生もやっていることは同じe-learningなので、もし渡航して現地の学生と授業受けようとしても、結局同じ仕組みだったかもしれません。また、通常の授業とは別に、他の国の学生とも話せる会話クラスがありました。開催時間は深夜で、これがこの留学の興味深い点の一つでした。カナダと日本は、14時間もの時差があります。ですのでこちらの日中が向こうの深夜に当たりますし、逆もそうです。夜に、日中と同じ感覚で授業に出席するので、時差ボケのような感覚に陥りました。同じ海外との交流でも、あまり時差がない国との交流と比べて、より留学をしている気持ちになれました。日本人何人かに加え、中国や韓国からやってきた学生も含め、アジア系のチームで話をしました。いくつかのスライドを作って、授業内で発表することもありました。カナダの場所別の食文化についてのスライドでは、フィドルヘッドといった、ゼンマイと思われる山菜を紹介しました。事前に提出しているわけではないのに、アンドリュー先生は全員の発表した食べ物についてコメントをしてくれました。私の変な文法の英語も聞いてくれて、間違っているところはしっかり直してくれたりして、アンドリュー先生ありがとうございました。結果的に、英語のテストの点数も少し上がりました。

国際交流課の皆様にも感謝を申し上げます。皆様方から頂いたこの出会いや経験が、さらなる英語への親しみやすさ、学びに繋がることだと思います。国内にいながらでも、私の中には英語があります。自分が多文化によって形成されていることを、いっそう強く感じた時間でありました。

Merci du fond du coeur.