カセサート大学オンライン学術交流プログラム学生報告会②
掲載日:2022.03.17
カセサート大学(KU)と実施しているオンライン学術交流プログラムの第2回学生報告会を実施しました。第1回学生報告会(1月21日)の様子はこちら
今回はKUの先生によるアジアゾウの感染症についてのセミナーと課題に対して、第1回とは異なった新しい編成でのグループで活動を行いました。
まず2月5日にKUのSupaphen Sripiboon先生によって『アジアゾウにおける感染症学(Important Infectious Diseases in Asian Elephants) 』と題してご講義いただき、その中で正常なアジアゾウの健康状態やアジアゾウへの一般的な投薬方法についても序盤で講義をしていただきました。主に結核、ヘルペスウイルス感染症、細菌性下痢症、クロストリジウム感染症についてのもので、アジアゾウの感染症診断・予防に関わる獣医学的な見地を深めるまたとない機会となりました。
講義終了後、Supaphen Sripiboon先生から「日本における日本におけるアジアゾウの飼育頭数、および日本で確認されているアジアゾウの感染症は?」「ゾウの結核をどう診断するか?」という課題が投げかけられ、第1回と同様に両大学の学生がSNSなどを活用して交流しながらグループで取り組み、3月3日(木)にグループごとの発表を行いました。
グループ1では、冒頭に日本の動物園におけるアジアゾウの飼育状況について、一覧表にまとめられた資料を用いて概説をしました。また、アジアゾウの感染症として対策が重要である結核(Mycobacterium tuberuculosisが原因)に関し、その診断方法についてコンパクトにまとめていました。特にKUの先生との間では、実際の診断にはどのような方法(どのような診断キット)を使うか?といった点に関し議論が展開され、現場での簡便性や診断までの迅速性などが話題となりました。
グループ2ではゾウにおける結核感染症の疾病の病態やその診断方法について紹介されました。また、結核菌の危険性や培養して調べることが困難なことから、診断する際の方法とそれぞれの方法の利点や原理と今後の展望についてまとめられました。
グループ3では、地元の円山動物園における、訓練により人とゾウの直接接触を防ぐことで、事故や動物のストレスを軽減するProtected Contact(準間接飼育法)というユニークな取組みが紹介されました。また、日本国内におけるゾウの疾病として、EEHVの報告事例が紹介されました。結核の診断法に関しては、MAPIA、STAT-PAKといった血清診診断を実施することで、菌分離の3.5~4年以前に結核の診断が可能であることを示す論文が紹介され、血清診断の重要性が強調されました。
発表後は各プレゼンテーションに対し各自が自分の見解を積極的に述べ合うなど、第1回同様に大変充実した報告会となりました。
報告会後、修了式を行い、KUのKhongsak Thiangtum 獣医学部長と本学の萩原克郎 学術交流国際化推進委員会委員長よりご挨拶をいただきました。その後画面上で集合写真を撮り、報告会を終えました。