JICA大学連携による海外協力隊派遣活動報告(ウガンダ) 島田卓さん
掲載日:2022.03.08
獣医学部獣医学科( 2012年度卒) 島田 卓(Taku Shimada)
JICA 青年海外協力隊として 2021年12月8日 から大学連携という形で2年間活動することになり、2022年1月27日 より任地ムバララでの活動が始まった。
私は 7 年間、香川県農業共済組合で臨床獣医師として勤務した後、青年海外協力隊の一般公募を受けた。ウガンダの要請に選 出されてから、この派遣内容が大学連携としての活動と知った次第である。安心・安全な生乳生産を支援することが主な目的であり、2016-2019 に実施された JICA Partnership Program ”Safe Milk in Mbarara Project”を引き継いだ形態となっているが、実際にはCOVID19の影響により派遣が2年間延期になったこともあり、任地の状況は大きく変わっている。今回、任地での活動が約1ヶ月経過したため現時点での活動報告をしたいと思う。
私の任地はムバララ県で、District Veterinary Office(以下 DVO)に配属されている。現在 Office 事体は設備的に JOCV の受け入れ態勢が整っておらず、整備されるまでの間、隣接する研究所にて当施設での検査業務の種類や方法を学びながら、今後の活動に必要となる検査技術を習得するために検査をおこなっている。
任地に配属されてからの1週間は、District の獣医師の活動把握のためにField に同行した。Field では犬の狂犬病予防注射や山羊の集団注射、山羊の帝王切開手術、牛の採血などを見学することができた。ウガンダに来て初めて獣医療の現場に立ち会ったが、技術的に大差はないと思われる。しかし、獣医師の処置時における不適切な衛生管理(採血や注射時におけるアルコール綿花不使用、注射器ならびに注射針の使い回しなど)が気になった。獣医師の衛生管理の意識の低さは農家を指導する際の弊害となると考えられるため、活動の一 環として改善していけるようにしたい課題だと感じた。
2週目以降は研究所にて検査業務について学んでいる。当研究所ではfield を巡回している獣医師や農家自身から持ち込まれた検体の検査業務をおこなっている。現在、検査としては糞便検査、FMDV(Rapid Test、Antigen Test)、ブルセラ病(Rose Bengal)、血液塗抹のギムザ染色による血液原虫の検索、死亡検体組織のスタンプ標本からの病原菌検索など を主な業務として検査を実施している。研究所設備は、検査に必要な顕微鏡やオートクレーブ、遠心分離器、恒温器などに加え、冷蔵庫、PC、プリンターまでJICA やRGU、FAO、IAEA 等の機関からの支援によって整備されている。しかし器具器械の経年劣化や不具合も多く、研究所自体も困窮しているため修理や更新なども十分におこなえていない。また、乳汁細菌検査のような培地等の予算のかかる検査は現在おこなえていない。
DVO 内が整備され次第、草の根事業での対象農家だった 30 農家を含む様々な農家を巡回しながらサンプルを集めていきたいと考えている。
協力隊の要請が出てから COVID19 の影響もあり派遣が延期していたこの2年間で、DVO の人事が大きく変わってしまっている。その影響で当時の要請を把握している人が少なく、活動していく上でどのように草の根事業からの延長として活動していくかが今後の課題として挙げられるが、当時の担当者と現在のカウンターパートと相互に連絡を取って 今後の活動をおこなっていきたいと思う。
(国際交流課注)
2019年8月21日本学とJICAはウガンダ国における安全な牛乳生産力の向上支援のため、2024年12月までの5年間学生等を海外協力隊として派遣する連携覚書を締結いたしました。コロナ禍で長く協力隊員の派遣待機が続いていましたが、島田さんは本連携における最初の派遣隊員となりました。今後任地での活動の様子を随時ご紹介していきます。
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