第1回酪農学園大学公開オンライン講座を実施しました

掲載日:2022.03.04

酪農学園大学では2022年1月24日(月)から2月25日(金)まで、第1回酪農学園大学公開オンライン講座を開催いたしました。

酪農学園大学公開講座は2005年度に開催した消費者向けの講座をきっかけに毎年開催し、「いのち」と「酪農学園大学らしさ」や「酪農学園大学にできること」を基本テーマに据え開催してきたところです。2022年度に関しましては広く「動物」に焦点をあてて2講演の動画を公開し、合計で182回ご視聴いただきました。

講義1「ストレスを科学する」では、獣医学群 獣医保健看護学類の林教授が講師を務め、講演のなかでストレスの概念とストレス応答、ストレスの評価と動物福祉、ストレス評価の現場への応用について説明しました。特に動物園にて飼育されている動物のストレス値を評価した研究紹介につきましては、いつも私たちが動物園で見ている動物たちのストレスと来園者の相関について実際に得られたデータとともに紹介されました。

第1回酪農学園大学公開オンライン講座を実施しました

講義2「生き物の行動を観察して分かること」では農食環境学群 環境共生学類の原村准教授が講師を務め、動物行動学、行動生態学、それらに関する研究内容の紹介を行いました。スライドのなかでは実際の行動を動画で紹介し、動物の貴重な姿を受講者の皆様に見ていただいたほか、原村准教授が研究の内容を紹介するとともにそのなかで撮影された写真・動画なども受講者の方にご覧いただきました。

第1回酪農学園大学公開オンライン講座を実施しました

また、講義1へご質問いただいた内容に関しまして、林教授より以下の通り回答します。

【質問】常同行動を呈している動物と呈していない動物で、ストレスマーカー値の差はありますでしょうか?またその際の分析サンプルは、被毛や糞便等の長期的なストレス状態が検出可能なサンプルが適していますでしょうか?

【回答】常同行動とは目的のない規則的に繰り返される行動のことで、葛藤や欲求不満などのストレスとの関連がこれまで多くの研究で報告されており、被毛や糞便により評価することは可能かと思います。ただ、常同行動が認められるからと言って、その動物がストレス状態にあるとは言えない場合があるため、注意が必要です。なぜかというと、高いレベルの動物福祉環境で飼育されていても、常同行動を発現することも多々あり、これは、過去に貧しい環境で飼育された経験があり、その際に発現した常同行動が、消失することなく、環境が改善された後でも残ってしまうことがあるためです。まとめますと、ストレスにより常同行動が発現している際に糞便や被毛を利用してストレス状態を評価することは可能ですが、常同行動が発現しているからと言って、動物が必ずしもストレス状態であるとは限らない。ということです。(酪農学園大学 獣医学群 獣医保健看護学類 林教授)

以上となります。

今後も本学の公開講座を何卒よろしくお願いいたします。