第2回大動物臨床教育オンラインセミナーの開催と質問への回答について

掲載日:2021.09.15

2021年8月27日(金)から8月30日(月)までの4日間、第2回大動物臨床教育オンラインセミナーを開催いたしました。本セミナーは例年5月に酪農学園大学を会場として行ってきたセミナーを、新型コロナウイルス感染症による感染拡大防止措置としてオンライン開催しているものです。今回は271名の方にお申し込みをいただきました。

本セミナーでは「蹄管理に関する酪農学園大学的アプローチ(講師:酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 阿部獣医臨床教授)」と「牛の蹄病変識別・重症度スコアシートに基づく定期削蹄記録データの解析(講師:酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 佐藤助教)」の2講座と総合討論(座長:大動物臨床研究会 髙橋会長)を動画として配信いたしました。

「蹄管理に関する酪農学園大学的アプローチ」では蹄管理や削蹄について本学で行った実験や学生教育などの取り組みを紹介いたしました。また、実際の現場で撮影された写真や動画などを使った臨場感のある講座となりました。

「牛の蹄病変識別・重症度スコアシートに基づく定期削蹄記録データの解析」では牛の蹄病変識別・重症度スコアシートの紹介や、これまでの定期削蹄時に記録したデータに基づいた蹄病変識別や重症度スコアリングなどを行うための知見などが紹介されました。

総合討論ではお申し込みをいただいた方から事前に蹄管理や蹄病に関するご質問を募集し、それらについて回答するという形式で進めました。

第2回大動物臨床教育オンラインセミナーの開催と質問への回答について
第2回大動物臨床教育オンラインセミナーの開催と質問への回答について
第2回大動物臨床教育オンラインセミナーの開催と質問への回答について

なお配信終了後、本セミナーに届いたご質問と回答は下記の通りです。

 

【質疑応答】

(質問1) 後肢外蹄の蹄底潰瘍や白帯病の治療の際に、蹄腫部の蹄壁を削り、蹄の後半部分を低くするヒールレステクニックを行っています。
その一方で、後肢内蹄に病変があった際は、蹄腫部の蹄壁はできるだけ削らずに残した状態で、病変部のみをえぐり取るように削った方がよいと削蹄の勉強会で習ったことがあります。そこで内蹄の治療の際は、蹄壁をできるだけ残すように削っています。これは正しいのでしょうか。内蹄の重度の白帯病(蹄尖部ではなく、蹄腫部あたり)では、蹄壁は削るしかないので削ってしまうことがあります。
前肢の病変を取り除く際、蹄壁はできる限り残した方が良いのでしょうか?内蹄と外蹄で遊離角質の除去をする際に、処置の違いはあるのでしょうか。

(回 答) 白帯病も蹄底潰瘍も、維持削蹄を行った後に病変周囲の治療削蹄(いわゆるヒールレステクニック)により段をつけて削蹄する方法がセオリーです。
ただし、絶対的に正しい治療法というものが無いのも現状かと思います。
病変の深さと範囲から残った蹄面での負重と跛行がどの程度か予測し、病変部蹄尖と健常蹄での負重が不十分と考えられるのならばゲタ処置が望ましいと思います。
自分の経験からは、中途半端に角質を残すよりも病変部位の角質をしっかり除去してゲタ処置の方が回復は早いように思います。(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 佐藤助教)

 

(質問2) DDへの蹄浴での対処の仕方についてお話しされた中に「M2ステージを発症し、治療した牛は蹄浴を通さないくらいの分別が必要」とのご指摘がありました。実際先生が指導されている農場では、DD治療牛を群分けして搾乳しているのでしょうか?(SA感染牛群を別に作って最後に搾乳するようなイメージ・・・?)

(回 答) 話の主眼は、明らかなDD病変を持つ牛は、蹄浴槽ではなく個体治療をまず行うべきということです。逆を言えば、蹄浴槽でDDを治療しようとしては失敗(感染源)となります。抗生物質使用個体は別搾りになります。(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 阿部獣医臨床教授)

 

(質問3)蹄浴に使用する薬剤は、従来から「硫酸銅」が広く使用されていましたが、廃水の処分方法や正規の使用ではないことから、使用を控える農場が増えており、これに代わるものが求められています。特にDDの抑制に関して何が効果的なのでしょうか。
先生の著書「牛の跛行と蹄管理」によりますと、ホルマリンをはじめ過酢酸や有機酸、硫酸亜鉛などの使用が紹介されておりますが、実際に使用している農場での効果についてお分かりでしたらご教示ください。 また、畜体消毒が許されている逆性石鹸や塩素系やヨウ素系の消毒薬は可能性がありますでしょうか。

(回 答)イオン化硫酸銅は、廃液が薄いためおすすめします。
まず、何もしないよりも、何かをすれば効果があります。ベストの方法は模索中です。薬品はいろいろありますが、濃すぎると悪影響があることが多いです。適正使用を心がけてください。(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 阿部獣医臨床教授)