フィンドレー大学ベケット奨学生報告書:10月
掲載日:2019.11.05
獣医学群 獣医学類2年 砂﨑 香恋
連日の真夏日から急激に気温が下がり、秋を感じられる季節となりました。9月のイベントでデザインしたタイダイ染めのシャツは色鮮やかで素敵な仕上がりになりました。さすがに今の季節には普段着として着るには寒すぎるのでジムで運動するとき限定で着ています。
10月の報告書では、はじめにアニマルハンドリングの授業について紹介します。その後、秋休みの旅行の話、クラブ活動、ハロウィンイベントへの参加等について紹介します。
アニマルハンドリングは基礎獣医学科(pre-vet)の一年生が受講する授業であり、週に三回あります。フィンドレー大学のキャンパスから車で20分ほど離れたところにあるウエスタンファームという、大学が保有する農場まで行って授業に参加しています。私は大学から無料のシャトルバスを利用して農場に行きますが、他の学生は自分の車で行く人がほとんどです。週三回の授業のうち二回は農場の動物を使った実習の時間であり、残りの一回は講義や学生たちのディスカッションの時間となっています。このアニマルハンドリングの授業の面白いところは、農場にある教室に向かうまでその日に行う実習内容がわからないということです。事前に連絡されたとしても予定が急に変更されることが度々あります。子豚の去勢をする予定が、突如子羊が生まれたということで様子を見に行くことになったり、講義の予定が、生まれて間もなくして死んでしまった子牛の剖検をすることになったりと、予想外のことがたくさん起こります。因みに剖検の結果、子牛は肺の異常が原因で呼吸ができなかったことがわかりました。肺の表面に無数の空胞が見つかり、幾つかの大きな穴が見られました。
今までの実習では主に子豚、子羊、子山羊、子牛に注射を打ったり、子山羊や子羊の耳標付けを行ってきました。子豚の尾を切って尾かじりを未然に防ぐ方法や、耳の一部を切り取って個体識別をする方法も学びました。新たに動物が生まれるとその都度これらの作業を学生たちで手分けして行っています。雄の個体に関しては去勢の仕方を学び、少人数のグループに分かれて子豚と子羊で行いました。また、動物の行動についても学び、接する際の注意点を実践しながら確認しました。例えば、人が近づくことで動物が動き始めるフライトゾーン(Flight zone)を数頭の小柄な雄牛を使って確認し、群集を効率的に移動させる方法を学びました。この実習の応用として次週は羊の捕獲方法と固定方法を学びました。さらに羊を固定させたまま、爪切りもしました。羊を捕獲してから横に倒し、前脚を持ち上げて尻もちをついたような格好をさせることで腹部の診察や注射を打つだけでなく、毛刈りや爪切りを容易に行える利点があると知りました。羊の倒し方を一時間かけて授業で練習しましたが、悔しいことに私は何度やってもできませんでした。惜しいところまでいったとしても羊を倒す前に私自身が倒れそうになってしまい、最終的には他の学生に補助してもらいたった一度だけ倒すことができました。他の学生や先生によると何度も練習をしてコツを掴まなくてはいけないということだったので、次の機会にこそ一人で倒せるようになりたいと思います。
実習では他にも縄を使った動物の固定方法や倒し方を学びました。縄の結び方を4種類ほど学び、状況に合った結び方を考えながら子牛を使って実践しました。細い紐を使って事前に何度も練習しましたが、いざ実践してみると動き回る子牛に気を取られて、時間がかかってしまいなかなか上手くいきませんでした。授業後に数人の学生と残って先生に教えてもらい、柵で練習してやっとできるようになりました。その後の授業では少し手間取りつつも子牛を正しく固定できるようになってきています。
アニマルハンドリングの授業が終わる頃には学んだことすべてを一人でできるようにならなくてはいけません。学んだスキルを将来活用して、いざという時にでも対応できるように、毎回の授業時間を有意義に使うように努めています。授業で新たに学ぶことは多いですが、酪農学園大学で学んだことを再確認できる機会もあります。酪農学園大学の解剖学の授業で学んだフリーマーチンという、雄のホルモンの影響で生殖能力を欠いた雌牛を実際に間近で見たときにはとても感動しました。また、フリーマーチンの説明をクラスの人たちにできたときは非常に嬉しかったです。
アニマルハンドリングの授業で使う器具の名称や薬品の名称と作用を覚えるのは大変ですが、それ以上に体重や体長、温度を測定する際に単位をすべて変換する作業に苦戦しています。クラスメイトもキログラムを使って計算しなくてはいけないときには同じく苦労しているのだと知ってからは私も頑張ろうと自分に言い聞かせています。
クラスメイトは皆非常に積極的なので、大声を出して主張しないと自分の学ぶ機会や実践する機会を逃してしまうということを日々思い知らされています。また、知識を共有する際にも、日本語でしっかりと理解できていない内容は英語でも上手く説明できないのだと、クラスメイトと交流していて痛感します。補うべき知識は自分でしっかり学びなおすとして、今は他の学生の意欲的に学ぶ姿勢を見習うことに集中しようと思います。今後は対等にディスカッションもグループ活動もできるようになることがこの授業での私の大きな目標です。
さて、ここからは秋休み(Fall Break)の旅行の話を紹介します。秋休みは10月5日から8日まであり、私はハウスメイトの三井さんと森田さんと一緒に2日間のシカゴに旅行に行きました。幾つかの観光名所を見て回り、リンカーンパーク動物園と、動物園に隣接する植物園、更にはシカゴ美術館を訪れました。美味しいシカゴピザを堪能し、充実した時間を過ごすことができました。
9月に引き続き10月も様々なクラブ活動に参加してきたので、その一部を紹介します。今月は新たにFASA(Findlay African Student Association)というクラブのミーティングに参加しました。FASAは多国籍の人が集まってアフリカの文化をより多くの人に広め、興味関心を持ってもらうことをコンセプトとしたクラブです。ミーティングではアフリカの文化や歴史、著名人、音楽などを題材にしたクイズをグループに分かれて行いました。一つの問題で「セネガルの首都はどこか」と尋ねられたとき、「ダカール」と唯一答えてチームに貢献できたことがとても嬉しかったです。私が2年ほどダカールに住んでいたことを知って皆とても驚いていました。色々な人に話しかけてもらうきっかけとなったので、あの時しっかりと主張できてよかったです。途中、熱中しすぎて喧嘩になりかけるほどクイズが盛り上がってとても面白かったです。このクラブのメンバーは主張がはっきりとした人が多く、愉快で親切な人ばかりです。このクラブでの活動を今後も一緒に盛り上げていきたいと思います。
Wilderness Clubのイベントとしてフィンドレー大学からおよそ1時間離れた湖でカヤック体験をしてきました。初めての経験だったので最初はなかなか上手く漕げず苦戦していましたが、慣れてくると周りの景色を見ながら優雅な時間を過ごすことができました。少し肌寒い日でしたが、日が出ていたのでとても気持ちが良かったです。
10月の中旬にはGenki Kidsという、幼稚園児から小学5年生までの子どもたちに日本の文化を紹介する取り組みのお手伝いをしました。習字をすることを事前に決めていたので、私は小学部担当として3人の子に日本語で自分の名前を書けるように教えました。はじめは「難しい、上手くかけない」と言っていた子も最終的にはとても上手に書けるようになっていました。皆とても喜んでくれたのでやりがいを感じました。自分の作品を先生や両親に自慢げに見せている様子はとても可愛らしかったです。
フィンドレー大学で80年代のジャズミュージックを紹介するディナーショーが開催されました。美味しいご飯と弾むようなリズムに満たされて心地よい時間を過ごすことができました。普段あまり聞くことのない音楽を知ることができて良かったです。アップテンポな音楽に乗ってその場にいた人たちと楽しく踊れたのは良い思い出となりました。
10月21日にはHerpetology Club(爬虫類学クラブ)主催のイベントであるReptile Appreciation Day(爬虫類感謝祭)が行われました。私は他の部員と一緒にボランティアをしました。Arrowhead Reptile Rescueという保護センターの職員数名とともにイベントを大いに盛り上げました。この日は多くの学生や地域の人達と交流できたので良かったです。また、センターの方からアメリカでの爬虫類の保護活動の現状やこれまでの活動、問題点、今後の活動などについて詳しく伺える貴重な機会となりました。
10月28日には日本人留学生で日本のアニメキャラクターに扮してハロウィンパレードに参加しました。長く続く大通りの両側に大勢の子どもたちが横一列に並んでおり、彼らに向かって手を振って、お菓子を配り歩きました。子どもたちは皆本格的な仮装をしており、本場のハロウィンを体験できたこと、一大イベントに参加できたことを大変嬉しく感じました。
10月は数多くのイベントに積極的に参加できました。11月も情報を集めて様々なところに顔を出したいと思います。