アルバータ大学夏季研修プログラム 英語研修コース

掲載日:2019.10.28

獣医学群獣医保健看護学類4年 今野 樹

2019年8月28日~9月22日の日程でアルバータ大学夏季研修プログラム英語研修コースに参加致しましたので下記のとおりご報告いたします。

さて、この度はカナダアルバータ大学での英語研修に参加する機会を頂きましてありがとうございました。この4週間はとても色濃く、これから先経験できないような貴重なものとなりました。

私の今回の留学の目的は、今後行う予定であるアメリカでの実習に向けての語学力の向上であり、特に日常会話のレベルアップが目標でした。特にホームステイを通して簡単な日常会話(スモールトーク)を楽しむことができるようになり、道が分からない時や困った時には道で出会った人に尋ねることもできるようになりました。

今回の渡航は私にとって初めての学生のみでの渡航でした。カルガリー空港に到着してからは英語が必要となりハプニングにも英語で、自分たちの力で対応しなければなりませんでした。1つ目のハプニングは乗り換え便の遅延で、語学研修のコーディネーターに伝えるため、使い方の分からない現地の公衆電話を使わなければならず、つたない英語で現地の方に尋ねると丁寧にやさしく教えて下さり、不安でいっぱいだったカナダでの暮らしに少し安心感を覚えました。

私のホームステイ先ではホストマザーのみが暮らしており、滞在中は基本的に2人で過ごしました。清潔感があり、ホストマザーも優しく楽しい方だったのでとても過ごしやすい環境でした。暮らしにはあまり大きな違いは感じなかったため、ひどくカルチャーショックを受けることはありませんでしたが、食事には違いがあり、特に私のホームステイ先では夕食への比重が大きく、ビュッフェ式にそれぞれが食べる量を取り、その日何をしたのか、どんなことがあったのか、お話をしながらゆっくり食べます。一方で朝食はコーヒーだけで済ませることも多く、昼食には夕食の余りをお弁当として持っていく方法が一般的でした。夕食時にその日の出来事をシェアする文化は大変楽しく、日本でも家族と様々な出来事や思い出をシェアしたいと思います。

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滞在中使わせていただいた部屋。
この他にもバスルームを用意して
くださいました。

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メインキャンパスの中でお気に入りの
学生用休憩スポット。おしゃれで
日光がぽかぽか当たり、居心地も良さそうでした。

Edmontonに到着し、その次の日にはオリエンテーションのため学校に行きました。ホストマザーにバスやLRT(電車)を調べて頂き、当日は一人でアルバータ大学のメインキャンパスへ向かわなければなりませんでした。バスの乗り方も降り方も、乗り換え方法もよく分からず不安でいっぱいでしたが、バスで隣の席になった女性に思い切って尋ねてみると、「方向が一緒だから一緒に行こう」と仕事前にも関わらず駅まで連れて行って下さいました。その後無事にコーディネーターと出会うことができ、メインキャンパスの紹介をして頂きました。キャンパス内にはハリーポッターにも出てくるような大きな図書館や、学生が自由に使えるスペース、本格的なジムもあり、圧倒され続けました。日本の大学とは違い、様々な飲食店があるところが自由でおもしろいと感じました。

最初の週末にはホストマザーとその親戚とキャンプに行き、そこではBannockと呼ばれるインディアンの伝統的なパンのような軽食や、Caesarというカナダで最も一般的なカクテルや北米式のBBQを体験することができました。特に最終日の夜には仲良くなった男性陣と夜中までお話を続け、それぞれの国の文化の違いやEdmontonやAlbertaで有名なものなどたくさんのことを教えて頂きました。親戚の皆さんがたくさん私に話しかけて下さり、最初は緊張してじっとしていることが多かった私も帰宅時には寂しくなってしまうほど、親しくなりました。

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ホストファミリーが作ってくれたCaesarです。
中にはピクルスが入っており、
酸味と辛味が程よく、
この後もバーに行くたびに頼みました。

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北米式のBBQは基本的にプロパンガスのコンロで
肉を焼き、やはりビュッフェ式で好きなものを
好きなだけ取ります。

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ホストファミリーが準備してくれ、自分で焼いたBannock。
生地は水・小麦・ベーキングパウダーで出来ていて、
木の棒に生地を伸ばしてセットし、回しながら焚火で焼き、
焼きあがったら中にジャムを入れて食べます。

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ホストファミリーと。
手前に写っている金属の塊の中に薪を入れ、火を絶やさず燃やし続けます。

ELS (English Language School)はUniversity of Alberta のメインキャンパス内ではなく郊外のオフィスの中にあり、8:30~12:30の授業後、午後からはSEC (Student Engagement Center) Activitiesと呼ばれる学内のアクティビティか大学ごとにセッティングされているアクティビティに参加しました。SEC Activities はConversation/Listening/Speaking などがあり、英語でディベートに挑戦し、玉砕しました。ディベートでは自分の意見を瞬時に英語に変換して、時には相手に意見する力も必要になり、瞬発力のない私にはとても難しいものでした。しかし、自分のチームでは日本人もすらすらと自分の意見を述べていることに衝撃を受け、より上を目指したいと思うきっかけにもなりました。
大学ごとのアクティビティではEdmonton Valley Zoo/Golf/Edmonton Humane Society/Legislature Tour に参加しました。Edmonton Humane Societyと呼ばれる動物保護施設では、保護された動物達がそれぞれの性格や体格に合った環境で、さらに避妊や去勢、減量など適切な飼育を受け、譲渡されていく施設を見学させていただきました。子猫とその家族は一つの大きな部屋が与えられ離れずに暮らすことができたり、早食い傾向のある犬にはそれを防止する器で給餌するなど、細かいところまで手が行き届いていて驚きました。特に私が感銘を受けたのは多くのボランティアが保護犬や保護猫の給餌や掃除だけでなく、散歩や遊びに関わっていたことで、そうすることでより早く人になれることができるきっかけ作りにもなると思います。日本の動物保護施設でもボランティア活動がもっと一般的になると変わっていくことも多いのではないかと感じました。特に自分が所属している獣医保健看護学類では学類犬として迎えたり、授業の一環でボランティア活動に参加するなど、様々なアプローチができるのではないかと思いました。動物に深く関わる学部だからこそ、保護施設にももっと関わっていくべきなのではないかと改めて感じました。

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ここでは保護猫がボランティアの方達と遊ぶことが
でき、ストレス発散、運動不足解消と人間への順化の
ために使用しているそうです。中には様々な種類の
おもちゃがあり、それぞれの好みに合わせて
遊べるようでした。

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ここで譲渡のための見学をすることができます。
中にはうさぎ、猫、犬が主におり、
猫に関しては自由に触れることができ、
相性を確かめることができます。

2週目の週末にはGarage sale と呼ばれる、日本のフリーマーケットのようなものにホストファミリーと参加しました。フリーマーケットとの違いはそれぞれのガレージで自由に開かれるところです。特に服や本、子供のおもちゃなどが多く売られており、私は帰国後に挑戦してみようとハリーポッターの本を古本で手に入れました。客は格安で欲しいものを買うことができ、売り手は不要になったものをお金に換えて処分することができるのでとても良い関係だと思いました。日本ではフリーマーケットがありますが、出品するには会場まで商品を運んだり場所代や申請も必要となってしまうので、面倒に感じ私は参加したことがありませんでしたが、このような体系を取れるのであれば出品してみたいと思いました。

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ホストファミリーが開いたGarage Sale。
友達から預かったものも
取り扱っていました。

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藤田君とモール内の遊園地の前で。
時間がなく何も乗れなかったことが残念です。

また、この週末には藤田君とWest Edmonton Mall (WEM)にも行きました。ここは北米最大のショッピングモールで世界では10番目の規模を持っています。信じられないほど広く、中には遊園地や大きなプール施設、スケートリンクまで入っていました。お土産を買いにお店に入ると店員さんが丁寧に説明してくれて助かりました。特に英語を勉強していることを伝えると、簡単な英語でゆっくりと話してくれる方が多く改めてカナダの方々のやさしさに触れました。カナダでは日曜日はバスのダイヤが変更されることが多く帰宅時に最終バスを逃してしまい、駅の公衆電話を使いホストマザーに駅まで迎えに来て頂きました。申し訳ない気持ちと不安な気持ちでとても心細かったので、ホストマザーに会えた時には安心して涙が止まらなくなってしまいました。カナダは基本的には安全ですが、時間帯と場所によっては酔人に会いやすく、特に女性は声をかけられることが多いようで怖い思いもしました。無事にホストマザーと落ち合うことができて本当に良かったです。この体験は今回の留学中で1番の失敗で最も怖い経験となりました。

次の週末には私が1番楽しみにしていたロッキー山脈へ泊りがけで和歌山大学、明治薬科大学、千葉大学、茨城大学の学生と合同で行きました。バスで片道5時間かけて向かい、その間には学生間でゲームをしたり、それぞれの学部の内容についてお話ししたりして過ごしました。中には私の学部と似たような研究をしている方もいて有意義な時間を過ごすことができました。
Banffという街に到着してからはロープウェイで展望台まで登り、昼食を取り、ハイキングに参加しました。そこでは日本では見たことのないような景色が広がっており、言葉には表わせないほど感動しました。この日は天気も良く心配していた気温もあまり下がらずたくさん写真を撮り思い出を残しました。特にBanffを流れる川や湖は透き通るような水色でとてもきれいでした。Edmontonと同様にところどころにゴミ箱が設置されているため、ゴミが落ちていることはほとんどなく、展望台やハイキングコースにはより多く設置されているため外観を汚されることなく美しい写真をたくさん撮ることができました。Banffの町並みには観光客が多く、日本語を聞くことも多々あり、中には日本人が営んでいるお店を見つける場面もありました。冷凍のメロンパンやおにぎり、刺身まで売っており、カナダに来て特にひどくカルチャーショックを受けたりやホームシックに陥ることはありませんでしたが、3週間目にもなると日本食はとても恋しく、つい手が伸びそうになりました。
Banff 2日目にはLake Louiseで人生初めてのカナディアンカヌーに挑戦しました。酪農学園大学の学生3名で漕ぎましたが、始めは難しくなかなかスピードも出ませんでしたが、すぐにコツをつかみ最終的には恐らく1番速く、1番楽しんでいたと思います。この日はLake Moraineにも行き「湖のはしご」をしました。Lake MoraineはLake Louiseよりも濃い青で、現地の方は「クリスタルブルー」と表現していました。カナダに来てここが私の最も感動した場所で、ハイキングコースを登り視界が開けたところに「クリスタルブルー」が広がっていて思わず声が出るほどでした。湖の反対側には森が広がっていてそのコントラストは最高で、いつか家族にも見せたいです。
Banff最終日にはJohnston Canyonに行き、初めての滝のミストを経験して、Banffでショッピングをして帰路につきました。お迎えにはホストファミリーが来てくれたので、久しぶりに話すことができたのが嬉しかったです。特にBanffにいる間はほとんど日本語で話していたので英語を忘れていないか心配でしたが、思っていたよりも自分に定着していて話せたことに安心しました。

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展望台からハイキングで頂上へ。
本当に綺麗で感動しました。

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Lake Louiseで初めてのカナディアンカヌー。
3人で楽しみました。

帰宅後初日の放課後にはSummer Social という学校主催のパーティーに参加しました。食事や友達との会話、Kahoot!というクイズゲームやダンスを楽しみました。ダンスはとても難しかったのですがメキシコから来た学生にメキシコ流のダンスを教えてもらい、多文化交流もできとても良かったと思います。

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メキシコとの友達とのダンス。段々慣れて楽しむことができました。

翌日訪れたLegislatureという政府関連施設は信じられないほど綺麗で、ハリーポッターの世界に入り込んだような素敵な造りでした。施設内をツアーで見学しアルバータ州の歴史や政治について学びました。特に日本と違うと感じたのは、議会がある時にはホールに一般の人も聴衆として参加することができ、さらに様々な角度からビデオカメラで録画・中継されており、聴衆として参加できない人は中継を必ず見るということでした。それは自分の生活に大きく関わることだからだとおっしゃっていました。日本ではもちろん中継をテレビで観たりする場合もありますが、なかなか自分の生活に大きく関わることを認知できている人は少ない気がします。カナダではタクシーや家族間でのスモールトークとして政治の話をすることがあると聞きました。私自身あまり政治関係のニュースを見たりすることもなく、日本では政治の話を人とする機会は少ないので、自分もカナダの方達を見習ってまずは新聞やニュースを見ることから始めてみようと思います。

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正面から見た施設のレゴ模型。
中にはハリーポッターのキャラクターのレゴやダースベイダーのレゴなど
公的施設のものの中にも遊びが溢れていて日本との違いを感じました。

帰国前最後の日の放課後には明治薬科大学の学生と卒業証書授与式に参加しました。仲良くなった友達や先生、コーディネーターとのお別れが辛かったです。その後コーディネーターとヘキサゴンカフェというボードゲームができるカフェに連れて行ってもらいました。カナダ式の人生ゲームは引くカードによってお題が与えられて英語で話すものだったので、留学序盤で知っていたらホストファミリーともやってみたかったと思いました。

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お世話になった友達、コーディネーター、先生と。

帰宅後最後の夕食では大きなステーキとワインをホストファミリーと食べながらカナダで一番楽しかったこと、一番大変だったことなど様々な話をしました。最後だと実感してとても寂しくなりました。そして夕食後の片付けを手伝っているとホストマザーがサプライズプレゼントを渡してくれました。中には毎朝飲んでいたコーヒーと同じ種類の豆、BBQで作ってくれたマカロニチーズのセット、メープルバターやROOTSというカナダでとても人気なブランドのTシャツなど本当にたくさんのものを用意して下さっていて嬉しさと寂しさとが混ざって最後には2人で抱き合って泣きながら感謝を伝えました。

帰国日の朝はとても早く、ホストマザーとの別れはあっという間でした。お世話になったコーディネーターとの別れも空港に入ってすぐで、寂しくてたまりませんでした。しかしセキュリティを通ってしまえば時がたつのは本当に早く、空港でA&Gというお気に入りのハンバーガーを最後に食べて、免税店でお土産を買うと、もう気付けば成田空港でした。何事もなく日本についた安堵感と聞き流していても理解できる日本語にほっとしました。成田空港では久しぶりにおにぎりを食べ、緑茶を飲み、カナダを出るときは帰りたくないと思っていましたが、日本を感じると早く家に帰りたいと感じました。

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空港まで送ってくれたリンと。お別れが本当に辛かったです。

今回の留学で、語学力だけでなく困った時思い切って人に助けを求める行動力や、知らない街、勉強途中の言語、知らない人の中でどう行動するべきかを決める判断力などたくさんのことを身に着けることができました。一生忘れられない最高の経験でした。そして巡り合えたたくさんの人に感謝しています。