海外農業研修を振り返って(1)「基礎学習を振り返って」
掲載日:2019.10.02
環境共生学類 中籔 大和
Big Bend Community College (※以降BBCC)では、平日は朝7時までに起床、7時半から8時過ぎまでに備え付けられたカフェテリアで朝食をとり、8時半から英語の授業が開始というのが朝の流れだ。授業は各自の英語のレベルに合わせて1~4まで振り分けられ、私は4クラスだった。英語の授業は間に休憩を挟みつつ、昼休憩の12時まで続けられる。その後、12時から12時50分まで朝食を食べたカフェテリアと同じ場所で昼食をとり、1時から農学の授業を1時間受講する。専攻する農学の種類によって授業のコマ割りは違うが、私が当時専攻していた野菜の授業は昼食後1時から2時までだった。農学の授業の後は、午前中と同様の授業を3時まで受講して、木曜日以外は3時で全ての授業は終了。その後5時半までフリーの時間があり、5時半から夕食だった。木曜日のみスペイン語の授業が3時半から2時間あるため、5時半にその日のカリキュラムが終了した後夕食。
土曜日、日曜日は基本休日だが、フィールドトリップなどが入る事が多い為、その日によってスケジュールが異なる。食事は平日同様カフェテリアで同じ時間にとる事が出来る。
基礎学習中の食事
基礎学習中は、BBCC内にあるカフェテリアで朝昼晩、決められた時間にバイキング式の食事をとった。その他には、日本のファミリーレストランにあるようなドリンクサーバー、お菓子や飲み物の自動販売機が設置されている。食事の内容は、トルティーヤやタコスなどのメキシカンフードや、ハンバーガーなどの日本人がイメージし易いアメリカンフード、その他にもカレーなどのアジアンフードもだされた。BBCCのカフェテリアの方が、私達日本人の為に毎日日本式の白米をだしてくださった為、余り異国の料理とのギャップを感じる事なく食事を楽しむ事が出来た。食事の際にはフルーツやケーキ、ヨーグルトなどのデザートも用意されている事が多く、日本のデザートとの違いとしては、リンゴが切り分けられずに丸々置かれている、ケーキなどが着色料でカラフルにコーティングされていてとても甘いなどの違いがあった。ドリンクサーバーにはコーラなど日本人でも馴染みのあるジュース類のほかに、ルートビアやゲータレードなどアメリカらしいものがセレクトされていた。ドリンクサーバの横には緑茶や紅茶のティーバッグやインスタントコーヒーなどが置かれていた為、朝寒いときなどは教室に持ち込んでいる研修生が多かった。休日の食事もカフェテリアでとる事が出来るが、外食することもあった。また、休日にフィールドトリップが入った日はサンドイッチ、リンゴなどのフルーツ、スナック菓子の小袋などが入った紙袋が支給されることが多く、外出先で食べていた。
英語の授業
英語の授業では、研修生のレベルに合わせたクラス分けがされていた。私は4クラス中の4クラスと、英語が得意ではない研修生のクラスだった。そして、講師の方は全クラス日本語をまったく話す事が出来ないアメリカ人の方が1人ずつ担当される為、授業も英語のみで進められる。
4クラスの授業内容は、このプログラム用の教材が1冊、市販もされている英語の教科書が1冊の計2冊で進められた。基本は単語についての勉強よりも文法についての授業が多かったのを覚えている。その他に、アメリカのことわざの暗記や、覚えた文法で日本人研修生同士での会話などをおこなった。そして毎週小テストを行い、躓いている研修生にはどこで躓いたかを把握してしっかり進められるようになっていた。その他にホームワークも毎日出ていた。内容を理解できている研修生は理解できていない研修生に教えていた為、同じクラスの研修生同士の親睦が深まった。そして、基礎学習の最後には自分の出身地についてのプレゼンがあった為、英語でのプレゼンの練習なども行った。普段は教室での授業だが、天気が良い日には、教室の外の芝生で青空教室のような事もあったので、ストレスをあまり感じることも少なかった。私はアメリカに着いた当初殆ど英語を話す事が出来なかったが、講師の方が簡単な単語でゆっくり話してくださっていた為、なんとか内容を理解する事ができた。
4クラス以外の上のクラスの授業の内容について他の研修生に聞いた話では、英語で会話をする、アメリカの新聞を読む、英語で歌を歌うなどの英語を学ぶというより英語になれる練習が多かったようである。ただ、4クラスで基本からしっかり学ぶ事が出来たのは私にとってとても良かったと考えている。
農学の授業
農学の授業は専攻する科目(当初の私の場合野菜)によって内容は違っていた。基本は月~金曜日に1時間ずつ組み込まれていて、専攻する講義の時間になると英語の授業を抜けて農学の教室に向かい受講することになっている。
野菜専攻の授業の内容は、アメリカの生産作物の割合、生産方法、輸出入量などのアメリカ農業の基礎の基礎についてスライドショーを見ながら農学の講師の方から授業を受けるという進め方だった。その他に、アメリカで使う農機具の英名や、授業で教わった内容などのテストがたまに行われていた。
そして、休日にはその専攻に関係のある農場などの見学に向かう日も多々あった。野菜の場合は野菜会社、畜産の場合畜産農家などだ。その他に、チューリップ畑のフェスティバルなどにも行った。
農学の授業でテストの為に勉強した事は今でもしっかりと覚えている。あとは、土地に対しての生産品目の考察というホームワークが出た事も記憶に強く残っている。
スペイン語の授業
スペイン語の授業はスペイン語が必要になる農場に配属が決まった研修生のみ必修になっていた授業だ。授業は週に一度木曜日の3:30pm~5:30pmまでとなっていた。
私はスペイン語が必要な農場への配属が決まっていた為、必修としてこの授業を受けていた。授業ではスペイン語と英語の両方を使いながら、数字や簡単な自己紹介など、本当に少しだけスペイン語に触れた。
今は必要になった為少しスペイン語も話せるようになったが、BBCCに居た頃はまったく授業についていけてなかった記憶がある。スペイン語の先生には申し訳なかったが、スペイン語の授業を今なら理解できる自信があるので、日本に帰ってから日本語でしっかりスペイン語を学びたいと今は思えるようになっている。
休日の過ごし方
BBCCでは他の日本人研修生と2人部屋だった為、何も無い休日は同部屋の研修生と出かけている研修生が多かった。
休日は農学のフィールドトリップに出かけるか、BBCCの職員の方とどこかに遊びに行く事が多かった。職員の方とハイキングで行った湖は今まで観たことが無いような素晴らしい場所だった為今でも強く記憶に残っている。
これらの予定が入っていない日には1ドルで乗れるバスに乗り、他の研修生達と食事などをしに街に行く事がとても多かった。街にある湖を散歩したり、買い物を楽しんだりと楽しかった記憶が残っている。その他に構内でバレーボールや野球をしたりして過ごしている人や、筋力トレーニング、授業の復習をする人など、皆様々な過ごし方をしていた。
職員の方達には休日まで私達に付き合って様々なところに連れて行っていただきとても感謝している。
基礎学習まとめ
基礎学習では、アメリカに着いたばかりで慣れない環境だった研修生達にとって、とても良い時間となった。英語や農学などの学問だけではなく、BBCCでの基礎学習期間は慣れない異国人達との接し方や文化、ルールなどを知る事ができる機会となっていた。元々私は農業も英語も殆ど知識が無かったのだが、職員の方々や、同期の研修生達に助けられながら2ヶ月をすごした。
英語の授業では基本の英文の使い方とヒアリングが少し成長し、農学ではアメリカの農業に対する考え方や生産に関する知識などを学び、スペイン語の授業ではスペイン語がどのようなものなのか学ぶ事ができた。そして、授業以外ではアメリカの良いところを沢山見ることができたので、アメリカに着いたばかりで緊張していた私達も肩の力を抜く事ができた。
基礎学習での反省点としては、休日や放課後などにもっと英語とスペイン語を学び、話す機会を作っておくべきだったと今は考えている。スペイン語に関しては、農場に配属されてからまったく話す事ができなかったので、とても後悔した。