トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム(ウガンダ)活動報告書 7月分
掲載日:2019.08.02
獣医学群獣医学類5年 梅原悠季
ウガンダでの生活も9ヶ月半が経過し、帰国までとうとう3週間となりました。今月は、ウガンダ国内ビックイベントの一つである農業祭が10日間に渡り開催されていました。また、8月からは留学計画を変更し、ファームステイをしながらの活動が始まります。プロジェクトでの活動9ヶ月半で感じたこと、なぜ今ファームステイなのかについてお話ししたいと思います。
1.ウガンダ最大の農業イベント
“National Agricultural Show”
私の住むムバララから東に350キロに位置するジンジャ県において、国内最大規模の農業祭であるNational Agricultural Show が7/12~7/21の10日間に渡り開催されていました。ジンジャは白ナイル川源流に面しており、ラフティングに多くの観光客が訪れます。また、現在も運行する鉄道や、昨年JICAが建設したナイル川を渡す橋“the Source of the Nile Bridge”など、観光だけでなく経済でも賑わっており、首都カンパラに次ぐ第二の都市と言われています。そのような地でNational Agricultural Showが開催され、国内外様々な地域から多くの人が集まりました。
National Agricultural Showは今年で27回を迎える、ウガンダ国内の農業に関わる組織や会社が各地から集まるお祭りです。各団体の紹介や活動ポスター、加工品や野菜の販売、農機具の展示、家畜の展示などが広い会場に所狭しと並び、初日から多くの来場者で大変な賑わいでした。本プロジェクトはムバララ県として一角にブースを構え、プロジェクトや介入パッケージを紹介するポスター、搾乳器具、搾乳衛生指導動画を流すなどしていました。
2.農家さんに密着して酪農ビジネスからウガンダを見る
昨年10月からプロジェクトに参画し、約9ヶ月半が経過しました。本プロジェクトではムバララ県の農家を対象に乳質・乳量の改善を目指した指導・普及活動を行い、農家さんに密に接することで生の声を多く聞くことができました。
また、農家さんだけでなく農家さんを取り巻く政府機関や集乳所、オフィサーとも関わることでムバララでの牛乳が生産されてから販売されるまでの流れ、ミルクバリューチェーンについても知ることができました。これらの活動を通して感じたことは、乳量・乳質の改善が農家さんの収入向上に必ずしも直結しないというウガンダのミルクビジネス・バリューチェーンのシステムでした。その主な理由は2つあると考えます。
①完全階級制の労働体系
ウガンダの酪農は、土地を所有するオーナーがマネージャー、ワーカーを雇い酪農業をさせ、オーナー自身は酪農にほとんど関わらないという形式をよく見ます。(オーナーが街や国外に住んでいる場合も多くあり、プロジェクト協力農家でもオーナーと会ったことがない農家もしばしばあります)このような農家では儲けのほとんどをオーナーが握り、ワーカー達が低賃金または無給で働かされていることが殆どです。
そのためワーカーがコロコロ変わり、技術指導をしてもなかなか根付かないという問題があります。
また、農家としての収入が向上してもワーカー達にまで十分に行き届いているのか、という問いも残ります。
②農家さんが恩恵を受けていない
現在ムバララ県では良質な牛乳の価値を上げるためのシステムが試験導入されています。良質な牛乳に対して農家さんにボーナスを与えるという仕組みです。が、このシステムの実際はボーナスが集乳所経由で農家さんに還元されるというものであり、ボーナスを集乳所が隠し持ってしまっているという実例があり農家さんに還元されてはいません。
これらの状況に対して、乳質・乳量の改善がもっと直接的に農家さんに還元されるためにはどうすれば良いのか、そもそも農家さんにどのような形で還元されるのが良いのか、農家さんの視点で見て考えたいと思い、留学残り3週間をファームステイしながら活動する計画に変更しました。(トビタテ計画変更には、ものすごく準備とエネルギーが必要です。全力サポートして頂いた方々に心から感謝致します。)短時間で非常に多くの調査・アクションを計画しています。
来月の最終報告書で10ヶ月半の留学総括に加え、8月の挑戦・結果について書く予定です。最後の報告書を楽しみにお待ち頂きたいと思います。