日中友好協会 大学生訪中団 2025年第2陣 報告書

掲載日:2025.09.09

酪農学研究科 修士課程1年 水野有梨(Yuri Mizuno)

1.はじめに

私はもともと国際交流に関心があり、これまでヨーロッパやマレーシアでの海外研修を通じて、異文化に触れることの面白さを実感してきました。特にマレーシアでは、自然環境について学びながら、多様な言語に出会いました。そのなかで、中国語を話す人々と交流したことがきっかけで中国語や中国の文化に興味を持つようになり、今回の大学生訪中団に応募しました。

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北京中央テレビ塔での集合写真

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胃もたれ必須の中華料理

訪中団参加が決まった際、周囲からは期待と不安が入り混じった反応が返ってきました。快く背中を押してくれる人もいましたが、多くは心配そうな表情を浮かべていました。これほど慎重な反応を受けたのは初めてだったため、日本人の中には中国に対してネガティブな印象や先入観を持つ人が少なくないことを改めて実感しました。そのため、自分自身の目で中国を見て、判断する機会の大切さを強く感じました。

2.中国での体験と気付き

7日間にわたる訪中では、河北省と北京を巡りました。
河北省では、廊坊師範学院の無形文化遺産・文化回廊・古建築博物館の展示を観覧し、シルクロード国際文化交流センターにて紅楼夢劇を見学しました。プロジェクションマッピングを用いた映像演出や、デジタル技術を駆使した博物館の展示は、私の中にあった「中国=古い歴史と文化の国」という先入観を大きく変えました。

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シルクロード国際文化交流センター

北京では、企業や博物館、オリンピック施設の見学をしました。加えて、文化体験や北京外国語大学の学生と交流をしました。特に印象的だったのが、北京大学で開催された「世界青年平和大会」です。ステージでは、世界各国の青年たちがそれぞれの民族衣装を身にまとい、歌やダンスなどのパフォーマンスを披露していました。言語も文化も異なる若者たちが、ひとつの舞台を共有し、笑顔で息を合わせている姿を見て、「世界平和とはこういうことかもしれない」と思いました。同時に、これからの平和を築くのは私たち自身であるということを実感し、大きな責任感を感じました。

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世界青年平和大会

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宋慶齢基金会での藍染体験

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天壇公園

3.日日友好

訪中団は全国から約100名の学生が集まり、専攻分野も年齢も多様でした。農学や工学、文学、国際関係、スポーツ、看護など、それぞれ異なる背景を持つ仲間と交流することで、自分にはない視点や知識に触れることができ、大きな刺激を受けました。特に語学に堪能な学生が多く、中国語のほか、英語や韓国語など複数の言語を自由自在に操る姿に感銘を受けました。
なかでも同じ班の仲間とは、中国で披露するためのパフォーマンス準備を通じて距離が縮まりました。私たちの班はAKB48の『ヘビーローテーション』を踊りました。限られた時間の中で振り付けや構成を決め、練習を重ねる過程で、お互いの個性や得意分野を活かし合えるチームワークが生まれました。

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待機時間に自主練

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本番前のリハーサル

4.中国で見つけた課題

訪中を通して、自分の知識の偏りを痛感しました。もともと古代中国の歴史や伝統文化については興味があり、一定の知識を持っていましたが、近代から現代にかけての日中関係や政治的背景についてはほとんど理解していませんでした。そのため、中国共産党歴史展覧館の展示では、重要な出来事や時代背景を十分に把握できず、表面的な理解にとどまってしまいました。
国際交流に関心があるにもかかわらず、国際情勢や外交史に関する知識が不足していることは大きな課題です。今後は日頃からニュースや専門書などで情報収集を行い、自分の興味分野だけでなく、世界全体を俯瞰できる視野を養いたいと考えています。

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中国共産党歴史展覧館

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古琴の体験

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解散前の空港にて

5.おわりに

今回の訪中を通じて、中国に対する印象は大きく変化しました。ただ単に「良くなった」ということではなく、多面的に中国という国を捉えられるようになったと感じます。中国には、最先端の技術や華やかな伝統文化、人々の温かさがありました。一方で、考え方や価値観の違いも実感しました。それらに直に触れたことで、偏見や先入観という壁を超え、中国の具体的なイメージを持てるようになりました。
同時に、中国についてもっと知りたい、深く理解したいという思いが強まりました。これは偏見を取り除くための第一歩であり、日中友好を築くためにも不可欠な姿勢だと考えます。今後は学びを継続し、得た知識や経験を周囲に共有することで、少しずつでも相互理解の架け橋を築いていきたいです。