海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 久保田匠さん

掲載日:2025.05.07

酪農研究科 修士課程1年 久保田 匠(循環農学類(2024年3月卒))

4月に入り1日だけ雪が降る日がありましたが、ほとんどの日は気温が高く晴れの日が続いています。今日は曇っているなと思ったときには、雷を伴う突発的な強い雨が降ることが多くなりました。まるでゲリラ豪雨のように一瞬で天候が崩れるため、放牧地で作業をしている際には空の様子に気を配るようにしています。特に、高い建物がない放牧地では、落雷の危険性が高いため今後も十分に注意して過ごしていこうと思います。
現在の主な仕事は、夏に向けたイリゲーション(灌漑)機器の修理や点検です。また、放牧地のフェンスの建設や、植物の成長や経年劣化によってワイヤーが切れてしまった箇所の確認・修理も行っています。そのほかにも、放牧地の草木に水を供給するために、川に簡易的なダムを作る作業も行いました。私の牧場がある地域は、砂漠に近い乾燥した気候のため、自然の雨だけでは水が不足してしまいます。雨だけに頼ると「セイジブラシ」という低木ばかりが広がってしまうため、芝のような草を育てるために川からの水の供給は欠かせません。加えて牧草地では、サイレージ(家畜の飼料)用のグラスを育てるために、橋のような形をした大きなイリゲーション機器を使用して水をまいています。これらの装置は、ポンプを用いて川から水をくみ上げて供給しているため、ポンプを含めたすべての機器の整備も行いました。このような灌漑の技術は日本ではあまり見ることができないため、非常に貴重な経験をさせてもらっていると感じています。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 久保田匠さん

右上の橋のようなものがイリゲーションの機器です

さらに、灌漑設備の準備と並行してサイレージ用グラスを育てるための土壌づくりも進めました。土を耕し大きな岩を取り除いた後、専門の業者の方に種と肥料をまいてもらい、その上に土をかぶせるという一連の作業を、1週間以内にすべて終えることができました。この週はほとんど毎日トラクターに乗って作業をしていましたが、冬の間に餌やりの際にトラクターの運転を練習させてもらっていたおかげで、スムーズに作業をこなすことができました。日本にいたころには想像もつかなかったような経験ですが、少しずつ技術が身についていると実感でき、とても嬉しく思います。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 久保田匠さん

土壌づくりでトラクターを走らせた後の様子

日々さまざまな作業を経験する中で新しく覚える知識や英単語も多く、難しさを感じることもありますが、残された研修期間を考えると立ち止まっている時間はないなと思いました。そのため、これからも積極的に多くのことを吸収しようという姿勢を忘れずに取り組んでいきたいと思います。またこのような経験は、1年を通じてこの牧場で働くことで初めて得られるものだと感じています。とても貴重な機会をいただいていることに感謝しながら、今後も一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。自分の成長を実感できるこの環境に感謝し、より多くのことを学び取れるよう努力を続けていきたいです。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 久保田匠さん

どこからか小さなヤギの大群が牧場の近くに現れました