海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

掲載日:2025.05.07

循環農学類(2024年3月卒)広井 千紗都

 4月になり私は11日にアリゾナ州を出て13日にワシントン州に帰ってきました。アリゾナ州を出る最後の週にはボスの長男の家族が休暇で遊びに来ており、みんなで馬に乗って家の周りのトレイルを歩いたり、一緒に遊んだり、グランドキャニオンにも行ってきました。初めて見たグランドキャニオンは目の前に広がる風景がまるで絵のようでフェイクみたいで信じられないねとみんなで話していました。その後はハイキングコースを歩き、野生のエルクもたくさん見ることができました。アリゾナ州は40度を超える気温だったのでワシントン州に帰ると24度がとても寒く感じ、上着を着て厚着をしていたのですが、ワーカーの人からそれは暑いから脱ぎなよと何回も言われてしまいました。体感温度は寒いワシントン州ですが、アリゾナ州に行く前の風景からガラッと変わって放牧地には草が生え、チェリーやアップルの木にも花が咲き、春の陽気を感じました。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

グランドキャニオン

 ワシントン州に帰ってきてからの作業は主に冬に産まれた子牛に焼き印をつける作業と駆虫薬やミネラル、ビタミンなどの投与や次の冬に向けた未経産牛のCIDRの挿入と人工授精、牛たちを放牧地に運ぶためにトラックに詰め込む作業をしました。CIDRをつける牛たちはグループで分けて行います。私がこの報告書をかいている現在では3グループあり1グループ約200頭の牛がいます。CIDR作業はホルモンを使うので女性が参加できないので牛を追うだけですが、人工授精の際は近くで作業を見させてもらいました。毎回数頭は人工授精する前にすでに妊娠している牛がいるのですが、今回その妊娠して子牛がいる子宮を触ってみるかと言われて触らせてもらえました。直腸に手を入れて子宮を触るとそこに牛の顔の形を確認することができました。学生時代に講習を受けたときに何度か子宮を触ったのですが、今回初めて子牛がいる子宮を触ることができ、とても貴重な経験をすることができました。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

発情が来ているかを確認するためのシール(1枚目→貼った当日)

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

発情が来ているかを確認するためのシール(2枚目→発情が来ていると張った次の日にはシール表面の塗装が剥げてピンク色になります)

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

発情が来ているかを確認するためのシール(3枚目→おそらく発情が来ていない牛)

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

子牛のいる子宮を触らせてもらいました

 人工授精などが終わった牛たちが行く放牧地も色々考えられており、オオカミの危険がある山の放牧地には冬に産まれた小さな牛ではなく、秋に産まれたある程度大きくなった牛を置くなどなるべく狙われにくいようにしています。母牛とペアで放牧するためにトラックに牛を載せるときには子牛がつぶされないようにトラック内の細かい部屋の中で親牛と分けます。そのため放牧地で牛を降ろした直後は母牛が仔牛の近くにいない状態なのでワーカーみんなで子牛が母牛を見つけるまで待ちます。ただ待つのではなく子牛が母牛のいるグループから逃げ出さないようにしないといけないのでとても大変です。子牛はいきなり走り出してどこかに行こうとしてしまう子が多いので常に目を光らせて逃げ出そうとする牛がいたら走って元の場所に戻してを繰り返します。大変な作業ですが、放牧地で新鮮な草を食べている牛を見ると嬉しくなります。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

cattle truckから牛を放牧地に降ろします

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

牧地の新鮮な草をおいしそうに食べる牛たち

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年4月 広井千紗都さん

リンゴの花とミツバチ。Orchardには巣箱があちこちに置かれています。

 これからまた放牧地に牛がどんどん運ばれていくのでこれからは馬に乗る仕事が増えそうです。ケガをしないように気を引き締め、残り少ない農場研修期間を有意義に過ごせるように取り組みます。