トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム(ウガンダ)活動報告 4月
掲載日:2019.05.08
獣医学群獣医学類5年 梅原悠季
ウガンダでの生活も6ヶ月半が経過しました。今月はムバララ県内のJICA協力隊員さんが活動されているセカンダリースクール(中・高等学校)にお邪魔し、授業を見学させてもらいました。また、短期間ですが日本に一時帰国していました。半年ぶりの帰国で感じた先進国としての日本という国、ウガンダに住んでいるからこそ気づけた母国とウガンダの違う所、似ている所、好きなところについて書いています。
1.ウガンダの学校
JICA協力隊員さんがPCの先生として活動されている学校にお邪魔し、授業を覗かせて頂きました。また校内や寮、キッチンも案内して頂き、日本とは全く異なる環境に驚きの連続でした。そんな学校の様子、感じたことを書きたいと思います。
ウガンダの学校制度
今回私がお邪魔したのは、国立のセカンダリースクールです。ウガンダの学校システムは、6歳から入学可能なプライマリースクール(7年制)から始まり、次にセカンダリースクール(6年制)を経てポスト-セカンダリースクール(大学)に入学するという流れです。プライマリー、セカンダリー、大学に上がるためにはそれぞれ卒業試験が課されており、さらに何年次か学年が上がる際にも昇級試験があり、試験シーズンの学生達はかなり勉強に追われているようです。
また、プライマリー、セカンダリーから学校のレベルを選んで学校寮に住みながら通う子が多いため、長期休みの始まりや終わりは学生達の移動で渋滞がものすごいらしく、現地の人ともよく話題に上がります。
授業・学校の様子
お邪魔した学校はPCが生徒に一人一台用意されており、非常に設備が整っている印象を受けました。ある程度金銭面に余裕のある学生が通う、地元ではレベルの高い学校だそうです。しかし私がお邪魔した日は、地域一帯が朝から停電しておりPCの授業にも関わらずPCが使用できない状態でした。こちらではかなりあるあるな状況なので隊員さんも慣れたもので、PCを使わずともできる授業内容を用意しておられました。
授業後は校内を案内してもらい、食堂やキッチン、寮などを見せてもらいました。この学校は全校生徒合わせて1100人、教員73人というかなり規模の大きい学校です。それをカバーする給食を作るのはさぞ大変かと思いますが、学生の食事は豆とポショが基本、先生達にはナッツソースや他のものがついたりするものの、かなり栄養状態の偏った食事内容となっていました。また最も驚いたのが、学生寮の窮屈さと一日のスケジュールです。寮には今にも壊れそうな二段ベッドが所狭しと並べられ、貴重品ボックス(青い細長い棺桶のような箱に私物を入れて管理する。帰省時ボックスごと持ち帰る様子をよく見る。)で足の踏み場もないような環境で、過去に寮の火事で多くの学生が亡くなる事故もあったようです。さらに一日のアクティビティが決まっており、朝4時起床、22時半までプログラムが組まれています。日中授業の空き時間やプログラム終了後勉強するしかないため、皆かなりの寝不足なのではなかろうかと心配になってしまいます。これら学校生活を垣間見て痛切に感じたことは、日本で学生が出来て良かったということでした。
(左上)授業が行われている建物。この一角にPCルームもある。(右上)寮の中の様子。柱の細い2段ベッドがギュウギュウに並んでいる。ベッドの下にあるボックスに学生の私物が入っており、鍵がかかるようになっている。あまりのプライベート空間のなさに、私はこんな環境で6年も勉強できないと驚愕した。日本で学生ができて良かったと心から思った瞬間であった。(左下)校内に干されている洗濯物。誰が洗っているのか。(右下)これも驚愕したが、シャワールームの様子。寮の目の前にある。シャワーといっても低い位置に蛇口が付いているだけ。温水が出そうな雰囲気は皆無。さらに奥の建物からどう頑張ってもシャワールームが覗けてしまうのが最も気になった。※ここは女子校であり男性教師も普通にいる。学生がタオル一枚巻いてウロチョロしていることも普通にあるそう。
ウガンダの教育の現状
ウガンダのカリキュラムに関しては、正直日本の1〜2年遅れくらいというイメージを持っていました。しかし驚くことに、勉強中の学生のノートを覗かせてもらうと、なんと数Ⅲやそれ以上の大学数学レベルの内容を勉強しているのを目にしたのです。話を聞くと、理科系やPCのセオリーの授業内容もかなり高度なことをされているそうです。こんな話を聞くと、一見国民の学力レベルはかなり高いのではと思えますが、実際は内容が難しすぎてテストをパスできず留年する学生がかなり多かったり、暗記するだけで全く理解していない、(先生ですら毎年同じ部分の説明の繰り返しなので理解はしていないと思うという話も聞いた。)そのため少し捻った質問をすると応用ができない、という話を協力隊員さんによく聞きます。
また、ウガンダに限らず途上国でよくある学校事情が、学費を払えず学年が上がるごとに学生が人口ピラミッド型に減っていくという現状です。学費を工面できた時にまた戻ってきたり、上記のように落第したりということが何ら珍しくないため、同じ学年でも年齢は実にバラバラです。
学生達は非常に人懐こく、授業前に軽く挨拶と自己紹介をすると皆興味津々に質問をしてくれた。カメラをぶら下げて歩いていても、嫌がるどころかPhoto me!とよく声をかけられ、どんな勉強をしているのか気軽に話を聞くこともできた。食堂では授業空き時間の学生達が勉強したり談笑したりしている中、寝ている子もかなり見られた。授業以外の時間のアクティビティはそんなに必要ないのでは…と少し不憫になる。
授業終わりにサックスを吹かせてもらった。少しのフレーズだけであったがかなり喜んでくれたようで、ある学生が「何かプレゼントしたいけど、今これしか持ってないから…」とペンをくれたのが嬉しかった。その後ティータイムの職員室でも吹くことになり、こちらで聞き慣れている曲のレパートリーを増やさなければと感じた学校訪問であった。
2.日本とウガンダの好きな所
今月は9日間だけではありますが日本に一時帰国し、半年ぶりの日本食を堪能して快適な環境で体力や栄養補給をすることができました。日本に帰国してまず感じたことは、日本語の安心感でした。挨拶一つとっても、空気を読んだり言葉を選んだりすることのできる母国語はやはり安心感のある言語だなあとしみじみと感じます。
日本で何よりも楽しみにしていたのが食事です。日本食シックにはならない!と強気でウガンダに渡った私ですが、やはり意地は続かずウガンダの食の種類の少なさ、味より満腹感重視の食事にかなり日本食シックを感じていたので、ここぞとばかりにウガンダではなかなか食べられない生卵や納豆、美味しいケーキやアイスを頬張っておりました。(案の定ものすごい体重移動をしてしまったので、本帰国では徐々に食を戻していこうと考えました。)日本の本当に素敵だなと感じることの一つが、まさに食の繊細さです。ウガンダでは食べることは生きるための活動、味より満腹感、栄養バランスなんて気にしないという雰囲気を感じていますが、日本での食べるという行為は“体験”であると感じます。ダシ文化が最も日本人の繊細な食を表しているのではないでしょうか。こちらでは味がしない、となかなか理解されないのですが、このダシ一つとっても様々な味、調理方法があり、それぞれに合う食事や飲み物の組み合わせがあり、季節によっても内容が変わり、日本人がいかにして食とこの風土と共に発展してきたかに想いを馳せたりもします。
そして今ウガンダに戻ってきて改めて感じるのが、ウガンダの人の魅力です。日本では、空気を読み合うという行為が自然と相手を慮ることができ心地よく感じる一方で、言わなければわからないこと、考えすぎてしまうことが多々ありました。ウガンダでは相手の言動から二手も三手も先読みして行動するということがまずないため、私にとっては単純明快で非常に過ごしやすかったのです。ムズング(白人)を見かければムズング!How are you!と声をかけてくるし、久々に街に戻ると顔見知った街の人たちが”Welcome back!” “You are lost.(おそらく最近見ないじゃん!みたいなニュアンス)” “What did you bring for me?”などなど皆図々しいくらいに声をかけてくれます。一人暮らししていても街に出れば絶対に誰かがいて、一人になることがないという安心感、彼らの底抜けの明るさが心から大好きだなとしみじみと感じます。発展が進んでも変わって欲しくないなと願うウガンダの素敵な所です。