マレーシア海外自然環境実習報告書(長澤さん)

掲載日:2024.05.16

 環境共生学類3年 長澤 香凛(Karin Nagasawa)

私がこの実習に参加した理由は、北海道とは異なる自然を持つマレーシアの自然、国際理解や国際協力に興味があったためです。今回の実習の目標は、野生動物の観察、フィールドの知識を増やし技術を身につけること。語学力を伸ばし、コミュニケーション能力を高めることでした。

ペナン島・首都クアラルンプールの訪問

ペナン島では、ペナンヒルの山頂にある自然保護区「ザ・ハビタット・ペナンヒル」を訪れました。この森の中では、つる性の植物が絡まりあう様子、イチジク属の木が他の木を絞め殺す様子など北海道とは異なる種類の森を実際に見ることができました。
クアラルンプールは、高密度で高いビルが立ち並ぶ街並み。行きかう人の年齢層は若く、とても活気を感じました。訪れたJICAマレーシアでは、JICAの支援対象となる国の選定基準、支援の方法、マレーシアにおけるボランティア活動についての話を現地スタッフから話を伺うことができました。国際協力の現状やアプローチについて知識を広め深めることができました。マレーシアの国立動物園は、とても広大な土地から構成されていました。動物紹介パネル、日本の動物園よりも鉄枠の檻が少なく、休憩所がとても多い等、日本との違いを発見することができました。

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マレー語と英語の紹介パネル
(2頭のゾウの生まれた場所や行動の特徴が記載)

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鉄柵が無い展示施設

バトゥプティ村

バトゥプティ村は、サバ州のキナバタンガン付近に位置し、サバ州の州都であるコタキナバルからはバスで7時間程度の距離です。道中では、パームオイルの原料となるパームヤシのプランテーションを見ることができました。このプランテーションは、天然林と様子が大きく異なっていました。木と木の間隔、高さ、種類がすべて同じで不気味でした。森林ではなく「畑」であり、天然林と容易に見分けることができるものでした。
その拡大は、野生動物の生息地の分断や消失の原因となっています。一方で、住民の仕事をうみだし、その稼ぎで、生計を成り立たせている人がいます。パームオイルは植物油として、私たちが使う洗濯洗剤、食器用洗剤、歯磨き粉、化粧品等の日用品、パン、チョコレート、揚げ物等、普段食べているものに使われています。パームオイル無しで生活することは困難です。生産者、消費者等の生活・動植物を必要以上に踏み台にしないためにはどうするべきなのか、私たちにできることはあるのかと考えさせられました。

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沿道に延々と続くパームオイルのプランテーション
(画像奥)

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川辺に広がるパームオイルのプランテーション

キナバタンガン川付近の森に入ると、ボルネオゾウ、ボルネオオランウータン、イリエワニ、カニクイザル、テングザルなど様な野生動物を観察することができました。動物園で動物を見る際は、「暢気に生きている」、「見た目や動きがかわいい」という印象を受けましたが、野生で見る動物の印象は全く異なっていました。警戒して小枝を投げるオランウータン、こちらに長い鼻を伸ばし鳴くボルネオゾウ、人を察知し、すぐに川に潜るワニなど、「森」で生きる野生動物としての姿を感じることができました。植林活動、カメラトラップの設置、ハイキング(登山)を通して熱帯雨林を満喫し、フィールドでの知識や技術を身に着けることができました。

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ゾウの足跡と私の足跡

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発見したゾウのフン

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植林活動の様子

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カメラトラップ設置

ホームステイや文化交流では、伝統的なダンス・楽器の演奏・家庭料理を体験しました。私は、現地の子どもたちや同年代の子たちとマレーシアの公用語であるマレー語で話をしました。現地の人々との関わりは、とても刺激的でした。バレーボールやマレーシアのゲーム「チョンカ」などで一緒に遊びました。彼らはとてもフレンドリーで、日本から来た私たちを快く受け入れてくれました。とても楽しく充実した時間を過ごすことができました。私たちが帰国して、受け入れる立場になったら彼らのようにしたいと感じました。

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舌が青くなるグミを一緒に食べた

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ゴミ拾い

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プレゼントを貰った

サバ大学

サバ大学の先生方からはエコツーリズムや環境問題の講義、日本では学んだことがない民族植物学、民族生物学などの講義を聞くことができました。マレーシアの先生が考える日本の環境保全のポイントや、マレーシアでの環境活動、自然資源の活用法等とても興味深いものでした。講義だけでなく、DNAの抽出実験、カフェインの抽出実験、昆虫・植物の標本作成、ハイキングなどの活動を行いました。人体博物館、水族館、モスクといった大学施設の視察も行いました。酪農学園大学よりも大きなスケールで学べること、豊かな生物多様性の近くで学べることなどの利点を発見し、留学などを考える機会にもなりました。
英語コミュニケーションの授業は、ゲーム形式やショートエッセイ作成などを通して発音や文法、活用形について学んだ。私たちが学校で受けていた授業とは全く異なるスタイルの授業法であり、楽しく学ぶことができました。英語コミュニケーションで扱うトピックも私たちが興味のある環境関係にまつわるものでより積極的に授業に参加できました。さらに、生徒5人に対して先生1人と少数で、多くの質問が飛び交い、個人の英語レベルに問わず英語を話す機会が与えられていて、とても良い雰囲気でした。

マレーシア海外自然環境実習報告書(長澤さん)
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コミュニケーションゲーム

約1か月間の実習では、日本で感じることができない自然に触れながら、フィールドの技術を身に着け、環境に対する知識を広げることができました。食べ物や雰囲気等、日本と異なる環境で過ごすことや、自分たちとは異なる意見を持つ人の話を聞くことは、協調性・傾聴力、わからないことや質問があれば自分で質問する主体性や積極性を身に着けることができたと思います。
この海外実習で得たものは、今後の大学のフィールド実習や調査で役に立つだけでなく、今後人と関わり続けていくうえで役に立つだろうと思います。これからも、たくさんの人と関わっていけるように、言語力とコミュニケーション能力を向上させていきたいです。

おわりに

私は幼いころから「野生のアジアゾウを見る」という夢を持っていて、その夢がかなったとても大満足な実習でした。野生のゾウを目に前にしたときは、感動で思わず涙がでました。新しい景色を見て、新しい知識を得たからこそ、就職・進路・考え方などの視野が広がったと感じます。マレーシアでは、虫を生で食べるなんて信じられない!と衝撃的なこともありましたが、そのようなことも受け入れ、自分とは少し違う相手のことも考えて、むやみに否定しないことの重要さを実感する瞬間がたくさんありました。
この実習では、野生動物観察などのフィールドワークだけでなく、多くの人と関わり、コミュニケーションをとることができます。貴重な経験になると思います。より多くの学生に参加してほしいなと思います。
最後に、私たちの実習を支えてくださった先生方や、事務のみなさま、現地スタッフ、送り出してくれた家族等すべての人に感謝します。ありがとうございました。
この経験を、大学生活だけでなく、今後のすべての活動に役立てたいと思います。

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昆虫の素揚げを食べた