2023年度 タイ・カセサート大学単位互換プログラム 11月報告書(沼さん)

掲載日:2023.12.21

タイ・カセサート大学単位互換プログラム11月報告書

獣医学群獣医学類5年 沼妃美香 (Himika Numa)

11月に入りタイも過ごしやすい気温になってきました。また、初めて海外で誕生日を迎えることになりました。
プログラム7週目はSwineユニットに行きました。カセサート大学(以下、KU)の学生と北海道大学(以下、北大)の学生とともに授業を受けました。
タイでは2年前にアフリカ豚熱(ASF)が流行し、多くの農家が廃業に追い込まれたことを知りました。日本ではまだASFの感染は確認されていませんが、検疫所では多数の汚染された食品が確認されていることから、ASFの話題は非常に興味深かかったです。
授業は分からないことだらけでしたが、その都度、KUの学生が丁寧に分かるまで説明してくれました。
実際に豚農場にも行きました。2年前のASFの流行から、この農場ではASFは散発的に発生が確認されていて、先月10月にも発生が認められました。今回の訪問では、ASFウイルスが豚および畜舎に存在するかを検査するためにサンプルをとりに行きました。初めて豚から採血を行いましたが、先生のアシストのおかげで無事に終えることができました。
金曜日のプレゼンテーションは、北大生と私たちの7人で1つのスライドを作りました。発表後の質問では、KUの学生は私たちが答えられるような質問をいくつもしてくれて、先生たちから難しい質問が多く来ないように頑張ってくれました。おかげで無事にプレゼンテーションを終えることができました。

8週目はPathologyユニットに行きました。北大生の2人も一緒に授業を受けました。日本での病理学のイメージは難しくて大変だというものでしたが、先生たちが優しく丁寧に教えてくれたおかげで苦手意識を持たずに勉強することができました。
顕微鏡を使って、組織の寄生虫検査のクイズをしたことがとても面白かったです。1人ずつ違う寄生虫がいる組織標本が渡されて、みんな一生懸命、自分の組織標本には何の寄生虫がいるのかを探しました。私はアーティファクトに翻弄され、寄生虫だと思って先生を呼ぶたびに、それはアーティファクトだよと言われました。最終的にHepatozoonを見つけることができ、とても嬉しかったです。

Kamphaeng  Saenキャンパスでの学習は終わり、北大生の2人は私たちよりも1か月早く日本に帰っていきました。2人ととても仲良くなれて嬉しかったです。北海道でも遊ぼうねと約束もしました。少し寂しくなってしまうのが残念です。2人のプログラムを通しての最終プレゼンテーションはとても面白く、私も1か月後の最終プレゼンテーションを頑張らなければならないと感じました。Kamphaeng Saenでの2か月はとても楽しく充実したものでした。こんなにも楽しめたのはKUの学生、先生たちの支えがあったからこそだと思います。本当にお世話になりました。

9週目以降はHua Hinの動物病院に移動しました。Hua Hinでは4週間、小動物臨床について学びます。
Hua Hinは海辺の地域でとてもきれいなビーチがあります。動物病院もビーチにとても近く、朝日を見るために毎日ビーチに行っています。

Hua Hinでの1週目はOut Patient Unit(OPD)ユニットに行きました。OPDは一般外来診療の部門で、毎日、健康診断から重症まで幅広い状態の動物がやってきました。
OPDで一番印象に残っている症例は、難産で運ばれてきた小型犬です。この犬は来院の3日前に出産をしましたが、3頭しか生まれず、胎盤も排出されず状態が悪かったため病院に連れてこられました。X線検査の結果、お腹の中に2頭の胎児が確認され、そのうちの1頭が子宮口につっかえていました。出産から3日経過しているため、2頭の胎児はすでに死んでいて、母犬を助けるためには手術で流産胎児を取り出すしか選択肢はありませんでした。しかし、飼い主が手術の費用を捻出することができず、犬はそのまま自宅に帰ることになりました。先生たちはもっと早く飼い主が犬を病院に連れてきてくれていれば、陣痛促進剤などの薬物投与で助けることができたかもしれないと言っていました。同時に、母犬は起き上がる力もないほど衰弱していたため、今日の夕方にはほぼ確実に死ぬだろうと言っていました。その犬を担当していた先生は、何度も外科の先生に相談しに行っていました。こんなにも必死に助けようと頑張って、助けられる手段もあるのにも関わらず、何もできないということにとてももどかしさを感じました。残念ながら、このような飼い主の都合で治療ができないことはよくあることだそうです。
また、Special clinicにも行きました。Special clinicは週に1回しかない専門性のある診療部門で、Cardiology(循環器内科)、Ophthalmology(眼科)、Exotic pet(エキゾチックアニマル科)、GI-liver(消化器内科)、Ultrasound(超音波診断科)の診療を見学しました。
Ophthalmologyの先生は普段は外科で手術をしていますが、眼科にも興味があったため、学んで眼科も診ることのできる先生になったそうです。眼科の診療技術を学びに酪農学園大学にも研修に来たことがあると言っていました。研修制度がしっかりとしていて興味の持ったことを行うことができる体制が整っていて、とてもいい環境だと感じました。初めて眼球の超音波検査を見て、目に直接ジェルを塗りプローブをあてることを知って驚きました。
Exotic petでは、先生が普段は大動物臨床をやっているということに驚きました。エキゾチックアニマルは病院に連れてこられた時点で、症状は70%進行しているということを聞き、エキゾチックアニマルの難しさを知りました。

Hua Hinでの2週目はSurgeryユニットに行きました。実際にアシスタントとして手術に参加し、先生たちの技術を間近に見ることができました。
最初に驚いたことは、麻酔管理は動物看護師が行うということです。タイには麻酔科医というポジションは存在せず、すべて動物看護師が管理するそうです。しかも、動物看護師の資格はなく、麻酔管理等の技術は働いてから勉強するそうです。

外科にやってくる動物は、交通事故や犬の咬傷による骨折が多いと感じました。放し飼いが主流のタイらしいなと思いました。
初めて麻酔リスク(ASA)分類5の手術を見ました。ASA分類とは動物の全身状態と麻酔のリスクを合わせた評価分類で、ASA5はどんな治療をしても24時間以内に死亡する可能性のある状態を指します。ASA5の症例は、猫で交通事故による横隔膜損傷でした。横隔膜がほとんど剥がれてしまっていて、呼吸が難しい状態でした。麻酔リスクが高く、深い麻酔をかけることができないため、迅速かつ正確な手術が求められました。外科の先生の全員が手術に参加していました。先生たちの仕事は良く連携が取れていてとても速く、手術は無事に成功しました。毎日、何件も手術をする先生たちはタフですごいなと思いました。
帰国まで1か月を切ってしまって、時間が過ぎるのはとても早いなと感じています。たくさん学んで帰れるよう残りの期間も頑張っていきます。

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Swineユニットの農場訪問の様子
ロープを豚に噛ませることで豚の唾液サンプルを集めます

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SwineユニットでKUの学生からもらった飴
“LIME”、“LEMON”、“SALT”と書かれているらしいのですが、どう頑張ってもカタカナにしか見えなくて、自分が日本人であることを痛感しました。

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Pathologyユニットの顕微鏡観察で見つけたHepatozoon

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北大生2人の帰国日に一緒に食べたドリアン
2人のタイ最終日に一緒にバンコクで昼食を食べました。KUの学生も何人か来ていて、みんなで果物パーティーをしました。3人ともドリアンに初挑戦し、北大生2人は一口食べてギブアップ、私は食べることができましたが人生で十分かなと思いました。

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Large AnimalユニットのDr.ミチに連れて行ってもらったKUのデモンストレーションファーム
Large Animalユニットから借りていた聴診器を返しに行った際、私が中小家畜に興味があることを覚えてくれていて連れて行ってくれました。山羊の非観血法での去勢も見学しました。

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週末に北大の植田さん、タイの友達といったKhao Yai
国立公園を散策しとても楽しかったです。ゾウにも乗りました。

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犬の目のエコー検査の様子

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Hua Hin Special clinic のExotic animalの診療の様子
鳩の口の中にできたできものをピンセットで取り除いています。この飼い主は野生から保護した鳩をよく連れてくるそうです。

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Hua Hin Surgeryユニットでの気管挿管
初めて気管挿管に挑戦しました。先生が丁寧に教えてくれたので無事に挿管することができました。しかし、手術直前に麻酔が切れて犬が起きて暴れてしまい、挿管したチューブも取れてしまい、先生が新しいものを挿管し直していました。

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Hua Hinのビーチ
病院から自転車で5分くらいで行けてしまうので、毎日、朝日を見に行っています。最初の方は辛かった6時起きも慣れました。
写真を撮っていたら野良犬が全力で自分の方に走って来てすごく驚きました。この犬は追いかけたり、噛んだりしてこなかったので良かったです。