海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)11月 高島あゆみさん
掲載日:2022.12.23
環境共生学類(2021年度卒) 高島あゆみ(Ayumi Takashima)
農場に派遣されて、3ヶ月が経過しました。私が住んでいる町では、3週間程前に突然雪が降り始め、その日は一晩で50cm以上積もりました。例年より早い初雪により、多くの牛が山に取り残されたため、連日山から牛を下ろす作業をしました。牛は積雪により牧草が十分に採食できなくなると、普段は採食しない植物も食料にします。その中でもマツ科の樹木の葉を大量に摂取すると流産を引き起こす原因になるらしく、実際、牛を移動させている最中、流血しながら歩く牛を何頭も見ました。また、この時期は急激な気温低下により、肺炎にかかる牛が多く見られ、毎日のように牛が死んでいます。体調の悪い牛がいた場合、日本の農場では何らかの対処をするのが一般的ですが、ここでは何もしません。ワーカーになぜ獣医に診せないのか聞いたところ、そのコストがかかると利益にならないからというシンプルな答えが返ってきました。大規模経営かつ一頭あたりの利益は少ないため、日本との経営方針の違いを改めて感じました。死んだ牛は基本的に放牧地の片隅に移動させて、そのまま放置するという日本では考えられない処理の仕方なのですが、すぐにコヨーテやワシ等の野生動物が集まり、数日で跡形もなくなります。アメリカならではの環境下に驚く毎日です。
生活面においては、車の運転にも慣れ、スーパーや銀行、隣町へショッピングに行ったりと行動できる幅も広がり、何不自由なく暮らしています。農場に派遣されて3ヶ月目にして仕事と生活、両面ともに慣れてきたと実感できました。ここからが、自分の努力次第で成長するか現状維持かの分かれ道だと思うので、初心を忘れずに様々なことに挑戦していきたいと思います。