2022年度 タイ・カセサート大学単位互換プログラム 10月報告書(鎌塚さん)
掲載日:2022.11.18
カセサート大学交換留学 月末報告 10月分
獣医学群獣医学類5年 鎌塚 龍生(Ryusei Kamazuka)
タイへ留学に来て6週間、早くも折り返しとなりました。1ヶ月も早いもので、もうこの月末報告を書く時がやって来たのです。おかげで睡眠時間が少なくなり、毎日の授業をよりハードに受けることができてとても嬉しいです。
さて、10月のタイの生活といえば9月の頃と一変し、怖いものがだいぶ少なくなり、生活基盤以外に目を向けられるようになって来ました。そんな10月は生活面の教訓から報告していきたいと思います。
まず、10月の初めにバンコクへ観光に行きました。そこでなんとRGUきってのポンコツ2人(個人情報のためRとZとしておきます)はパスポートを寮に置いて来ます。ホテル等を使用する時は証明としてパスポートは必須です。これは海外にいる際は基礎知識なのですが、そんなことはこの2人にはお構いなしです。それなのにカセサート大学(以下KU)の学生はカンペンセンからバンコクに合流するもう1人の友達に連絡してくれ、その友達はわざわざ寮にパスポートを取りに行ってくれました。その優しさに涙がちょちょぎれそうでした。10倍返しします。また、10月の生活のメインは国王の避暑地と知られる観光地のHua Hinでした。ここでは自己管理の甘さから僕は体調を崩しがちになってしまい、苦しかったです。サッカーを激しくした後には体が冷えないように汗をすぐ拭き着替えましょう。さらに、共同生活をするなかで私は慣れからか報連相が少なくなって来てしまっていると感じたので今一度戒めていきたいと思いました。その結果が先月の月末報告です。写真被り陳謝いたします。そんな謝ることいっぱ〜いの鎌塚ですが、食べ物への飽くなき挑戦は続いており、教授に再三止められていた屋台の寿司やフルーツは美味しくいただけています。さしずめ運が良いだけでしょうが、タイの食べ物に後悔することはなさそうです。この留学で一番の自信になることでしょう。
本題の学業に移ると、10月第1週はPathologyでした。日本では一般的ではない感染症がタイには多くあること、その内容について学びました。実習では鶏の解剖をしたり、顕微鏡を用いて寄生虫を探したり、免疫化学染色やPCRもしました。鶏の解剖では麻酔や放血も自分ですることで命を実際に奪うことが食や教育などに直接つながっていることを考える機会になったと思います。1人1羽割り当てられたことで実際に自らの目ですべて確認できたので学習密度が大きいものでした。また、すべてのKUの獣医学生もこの割り当てと聞き、学習の支援体制に驚かされました。解剖室のゾーニングがしっかりしていたのが印象的でした。顕微鏡を用いた寄生虫観察ではなかなか虫体を見つけることができず、すぐに見つけていた教授方に尊敬するばかりでした。PCRや免疫化学染色では3年前に完成した新しく大きな建物で行いました。そこには専門機械がありましたが、日本に比べてまだ設備が揃っていないところもありました。しかし、追いつかれるのも時間の問題なのかなと危機感も覚えました。
第2週からはHua Hinにある大学附属動物病院で小動物臨床について学びました。ここではタイ全土からさまざまな病気の動物が運び込まれて来ます。私が見た先生方は1日に十数件の診察をこなし、別日には何件もの外科手術をこなしていました。その診療もタイ語と英語が混じっています。Hua Hinはタイ有数の観光地であり、欧米系で隠居している方も多く見受けられるためです。英語で専門用語だけでなくコミュニケーションを円滑に取れる能力の重要さを感じました。病院では前述のような激務でもほとんど定時で帰っており、メリハリのしっかりしている職場でした。しかし、CCUという24時間体制の入院管理課は獣医がシフト制で夜間も見ます。タイでもこういった形態の医療が浸透して来ていることを知り、飼い主の安心や満足な治療を提供できているのだと感じました。外科では助手に入り、皮膚縫合も少しさせてもらいました。3人の先生が特に印象に残っており、ヘンタイ先生ことDr.Pongがジョークや下ネタを連発していました。しかしながら腕前はピカイチで胆嚢系などの軟部外科のプロでした。Dr.Tangは眼科の先生で、RGUにも来たことがあります。とても丁寧に教えてくれました。Dr.Offは神経科の先生でとても長い時間の手術を何件もこなす外科大好き先生でした。どの先生もどんな手術でもこなすのでレベルの高さを感じました。
Hua Hinではさまざまなアクティビティにも挑戦しました。海が近いため今年初の海水浴や人生初のバナナボートを経験しました。人生初のダイビングもタオ島で経験したりするなかで、やはり知らないことに挑戦することの楽しさだったり、とにかくアクションを起こしてみようというコロナ前と同じ気持ちに近づけていることはこの留学のおかげだと感じています。Hua Hinではサファリにも行きましたが、トラのショーなど野生動物は見せ物として完全に娯楽として使われていました。生態系の頂点の動物が人間に使役されている姿は見るに堪えないものでした。これにお金を払ってしまった自分が情けなく感じましたが、この現状を見たことで動物福祉と共存の道をより強く考えさせられました。野生動物との付き合い方は人間だけの都合で考えてはいけないと強く感じました。Hua Hinで物資的にも精神的にもサポートしたいただいたユキさんに感謝をしてここらへんで終わりたいと思います。来月もお楽しみに。
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