2022年度 タイ・カセサート大学単位互換プログラム 9月報告書(平識さん)

掲載日:2022.10.18

9月 マンスリーレポート

獣医学群獣医学類5年 平識善一朗(Zenichiro Heshiki)

 

タイでは野犬が大学構内に多く生息しています。私は留学に来る前の事前学習会で野犬に気をつけるようにと注意されていたにも関わらず、初日から野犬とカーチェイスするといった刺激的な留学生活を開始することになりました。

2022年度	タイ・カセサート大学単位互換プログラム 9月報告書(平識さん)

(大学構内にいる野犬(stray dog)近づいてきても決して触ったり刺激したりしてはいけません。写真右手には大学構内のナイトマーケット)

私がなぜ今回のタイ・カセサート大学単位互換プログラムに申し込んだかというといくつかの理由がありまず初めに、5年生の後期の単位を取得しながら留学を行うことができるため留年などを気にせず参加することができます。またカセサート大学は本学と比較し魚病学やエキゾチックアニマルなどに力を入れており日本で学べないことを専門家から直接学ぶことができると考えたからです。さらに海外で3ヶ月過ごせる経験や言語の違う人とのコミュニケーション、異なる文化を肌で感じるといった新しい挑戦をしたいと思ったのも理由の一つです。

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(大学内のElephant Hospitalに入院しているアジアゾウのマリオです。右足の関節に炎症が起こっているそうです。エキゾチックの授業で実際に触診しました。)

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(猛禽類や鳥類を専門に扱うRaptor Hospitalなども大学内にあります。実際に入院している猛禽類の健康診断を手伝わせていただきました。採血が難しかったです。)

改めて私がタイに到着しからの約2週間、こちらでの生活や授業の内容などを報告していきます。
私が今回留学するカセサート大学(以降KU)はキャンパスがいくつかあり9月の間はキャンペンセンキャンパスで過ごすことになります。キャンペンセンキャンパスは東京ドームおよそ300個分の大きさを誇るといっても過言ではないです。そのため私たち留学生は迷いすぎて「we are lost!」が口癖になるくらい大きなキャンパスです。そのためKUの学生は構内の移動は基本車かバイクを利用するが、私たち留学生は中古の自転車で校内を移動しています。自転車がなく歩きだと、寮から獣医学部の棟にたどり着くのに20分はかかると考えます。留学したい人は自転車に乗れることは必須です。
タイでの食事は外食であり、寮でご飯が出たり作ったりすることはないです。基本的に朝昼はKUのキャンパス内の食堂にいき、夜は大学の反対側にあるマーケットかレストラン、KU構内にあるナイトマーケット(水曜日には大きなマーケットがキャンパス内で開催される)に行きます。大学の構内に食堂、Cafeもたくさんあり全てを制覇したいとKUの学生にいうと「555555」と一掃されてしまいます。(555とはタイで一般的に使用される「笑」のことである。)夜などキャンパス郊外に出る場合はKUの学生が車でマーケットやレストランに連れて行ってくれます。以前私は日本でタイ料理に挑戦した時あまり口に合わず留学生活が不安でしたが、実際ここでの食べ物は全て美味しく、毎日何を食べるか考えるのが楽しみの一つです。食事の際気にしている点は、私たち留学生は胃がセンシティブなので食べる前にアルコールで食器を拭き、火を通していない食べ物は控えるなど細心の注意を払っています。付け加え、胃を鍛えるため留学前に毎日ヨーグルトを食べたおかげで今の所食あたりはないでが、まだお腹をくだすことに怯えているのでKUの学生にダイアリーヤチェック(下痢の可能性)は欠かさずしてもらいます。

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(KUの学生とナイトマーケットに来ています。タイのデザートローティーを買いました。中毒になるくらいアロイマー(おいしい)です。)

続いてこの2週間の授業について触れていきます。
KUの授業は全て英語で行われます。私にとって英語の授業はとても難しく油断すると英語がBGMに変わってしまうのでついていくのに必死です。それでも私たちが納得をいかない顔をしていると先生や学生は言い換えてくれたり単語を書いて教えたりしてくれて理解するまで付き添ってくれます。しかし専門用語は聞いてもわからないことが多いので必死に検索しながら授業を受けています。Googleの検索履歴が「〜〜意味」ばっかりになってしまっておりその点留学前の語彙の準備不足を痛感しております。

1周目の授業はAquatic(魚病学)で主にエビと金魚の養殖について学びました。タイはエビの養殖業などが盛んであり、獣医師はエビの養殖業に水質の調査や感染症の予防などの観点から関わっていきます。実際にエビの農場や金魚の養殖場にいき養殖場の構造の説明から始まり飼っているエビや金魚の種類、水質の検査、飼養形態、疾病の有無、金魚の診察の仕方などを教えていただきました。正直このAquaticは見るもの聞くもの全てが初めてで膨大な知識を慣れない言語で扱うのはとても大変で頭がパンクしました。中古の自転車よりも先にパンクしてしまい、あまりの自分の弱さを痛感しております。けれども全く背景知識のない私たち留学生にも先生は親身になって教えていただきました。タイの先生はどの先生も個性豊かで親しみやすく私たちのバカな質問にも丁寧に答えてくださります。農場の調査が終わるとプレゼンテーションを作らなければいけません。農場の水質調査、魚の触診や顕微鏡による検査などからわかったことから農場の改善点などをまとめて英語で発表します。

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(Aquaticの授業でエビの養殖場に来てKUの先生が開発したエビのふりかけを食べさせていただきました。この笑顔の翌日、左の先生にプレゼンテーションでしばかれます。)

これが初めての英語のプレゼンテーションということもあり、いざ発表してみると準備不足で先生やKUの学生からの質問に対応することができませんでした。その結果なんと質疑応答まで合わせて発表を終えるまでに2時間かかりました。1時間くらいして一旦終わりそうになってまた質問が続いた時は驚きのあまりJapanese ずっこけ!を見せてしまいそうになりました。2時間の攻防の後なんとか終えたのですが改善点がたくさんあったので次回からはこれを踏まえてより良いプレゼンテーションにしていきたいです。

2週目はエキゾチックの授業です。将来エキゾチックの分野に携わっていきたいと考えているのでとても魅力的な授業で今回のプログラムにおいて最も興味がある授業です。扱った動物の数が多すぎてここに記入すると月間報告書が動物図鑑になってしまうため割愛させていただきます。中でも動物園への往診は個人的に貴重な経験になりました。山羊やカピパラ、リクガメ、羊に駆虫薬を投与しました。カセサート大学の授業は基本的になんでも「TRYしてみよう!」といってくださるので実際に多くの経験を得ることができます。羊の駆虫では40頭の群れをみんなで追っかけ回して捕まえるのがハイジになれた気分を味わえて幸せでした。
この2週間毎日が楽しく1日が一瞬で終わってしまいます。改めてこのプログラムに参加してよかったと思うとともに、サポートしてくださっている酪農学園大学の先生やスタッフ、KUの先生や学生およびスタッフに感謝して今後も留学を楽しんでいきたいと思います。

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(左の図は動物園に往診に来た際にインコたちと戯れている写真です。動物病院にも何匹かこの種類の鳥が来院してきます。)

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(右の図はリクガメのレントゲンを撮影しています。この子は肺に炎症があり入院していました。37kgもあるので持ち上げるのも一苦労です。)