本学教員が焼尻めん羊牧場で周産期管理のための技術指導を行いました

掲載日:2022.08.11

7月30日、本学獣医学類大塚浩通教授(生産動物病態学ユニット)と菅野美樹夫獣医学群特任教授は、羽幌町が管理運営する焼尻島(やぎしりとう)の焼尻めん羊牧場を視察し、周産期疾患予防のための技術指導を行いました。このような現地指導は、昨年度から進められてきましたが、悪天候による本土と島を結ぶフェリー欠航や新型コロナウイルス感染症拡大により再三中止となってきました。今回はこれから始まるめん羊の交配準備と出産に向けての飼養管理の技術指導が目的です。

焼尻島は、苫前郡羽幌町の西方約25㎞の日本海に浮かぶ島で、武蔵水道を隔てて西側の天売島(てうりとう)とともに羽幌町に属します。島の面積は約5.2km2、周囲約12㎞で、サイクリングやキャンプなどを目的に多くの観光客が訪れる地域です。主な産業は漁業と畜産、そして観光です。畜産は、島の高台に放牧されている約170頭のめん羊(サフォーク種)が夏山冬里方式で飼育されています。国内有数の羊肉生産基地としても有名で、ストレスをかけずに育ったラム肉「焼尻サフォーク」として大都市(札幌、東京、大阪など)の高級レストランで食されているそうです。

本学教員が焼尻めん羊牧場で周産期管理のための技術指導を行いました

日本海を一望できる高地に放牧されているめん羊(サフォーク種)

本学教員が焼尻めん羊牧場で周産期管理のための技術指導を行いました

伸び伸びと青草を食べて反芻するめん羊(サフォーク種)

視察中、両教授から様々な疾病対策、効率的な交配頭数の群管理方法や昨年出産シーズン中に起きた周産期疾患や栄養障害に対する対処方法について、熱のこもった解説がなされました。牧場スタッフからも多くの質問が出され、復路フェリー出発時間ぎりぎりまで討論が続きました。

本学教員が焼尻めん羊牧場で周産期管理のための技術指導を行いました

大塚教授が周産期の栄養管理等について説明する様子

本学教員が焼尻めん羊牧場で周産期管理のための技術指導を行いました

肥育羊舎(内部)

本学教員が焼尻めん羊牧場で周産期管理のための技術指導を行いました

肥育羊舎(内部)

本学教員が焼尻めん羊牧場で周産期管理のための技術指導を行いました

肥育羊舎(入口)

本学は、以前からめん羊の毛刈り体験や分娩補助体験をさせていただくことを目的として学生を派遣しておりました。こういった経緯を踏まえて現在本学は羽幌町との協定締結に向け、連携事業の明確化および連携の可能性を検討するため、数年前より飼育管理全般にわたる協力を教員・学生共に行ってきました。しかし今般のコロナ禍により現地に出向いての指導協力に制限がかかり、また周産期疾患の予防については、めん羊の出産時期が1、2月の厳寒期と重なることから海が荒れ思うように島に渡ることができませんでした。今回初めて周産期疾患の予防対策という観点から現地視察ができたことについて、牧場スタッフを始め、羽幌町役場職員からも大変有意義で成果があったと感謝されました。

今後もこのような現地での取り組みを積極的に後押し、獣医学群の教育・研究に生かしていきたと考えております。

(酪農学園大学 特任教授  菅野 美樹夫)

本学教員が焼尻めん羊牧場で周産期管理のための技術指導を行いました

島の展望台:(左から)山元場長、富樫係長、菅野特任教授、大塚教授、隅田飼育員