2022年度 食の講座Ⅰ「バランスの良い食事とは?」における講演内容の質問に回答します。

掲載日:2022.07.07

2022年5月28日(土)に開催いたしました食の講座Ⅰ「バランスの良い食事とは?」にて寄せられた質問について本学教員が回答いたしました。

【質問1】高齢者は肉や乳製品、卵を摂った方が良いと言う識者の方がいる一方、ガンの疾病のある場合は、動物性タンパクはダメという医者がいる。どちらが正しいのか?
(回答)どちらも完全に正しいとは言えませんが、間違ってもいないと思います。講座中にもお話ししましたように、たんぱく質の摂取は、高齢者の低栄養状態の予防に重要です。一方で、いわゆる動物性たんぱく質が多く含まれている「赤肉・加工肉」は大腸がんのリスクを上げることが示唆されています(国立がんセンターHPより)。しかしながら、栄養は何を食べるのが良い悪いではなく、必ず摂取量との関係を見なければなりません。赤肉や加工肉を長い期間過剰にとることでがんのリスクが高まる可能性があるということです。また、がんであれば定期的に検診を受けることも予防医学的には重要と思います。
回答者:農食環境学群食と健康学類 准教授 小林 道

【質問2】タバコと飲酒の習慣は好ましくないですか?根拠が知りたいです。(因みに私は両方とも嗜みます。)
(回答)タバコや飲酒が、いくつかのがんや生活習慣病のリスクを高めることは確実とされています。もちろん量と期間によってリスクは異なります。根拠(研究論文)はたくさんありますが、がんであれば国立がんセンターのHPにまとめられていますのでご参照ください。
回答者:農食環境学群食と健康学類 准教授 小林 道

【質問3】ラーメンは食事バランス上、どう良いのですか?
(回答)講座の中で、ラーメンが好きと言いましたが、食事バランス上、ラーメンが良いとは申しておりません(誤解を与えたなら申し訳ございませんでした)。食事バランスの話しをするならば、麺類は一般的にたんぱく質が低く、炭水化物が多くなりがちで、内容によっては脂質も多くなります。更には食塩量も高いです。バランスよく食べ合わせるなら野菜や果物を食べるように心がけるのが良いかと思います。
回答者:農食環境学群食と健康学類 准教授 小林 道

【質問4】昔「ひじきには鉄分が豊富に含まれる」と教わり、ひじきを食事に取り入れてきました。最近知人から「ひじきには鉄分が含まれないそうだ。給食でひじき料理が出なくなった」と聞きました。本当はどうなのでしょうか?家庭に女性が4名います。鉄分を美味しく食べる食材を教えてください。
(回答)何年か前の食品成分表の改訂で、ひじきを煮熟する際の釜が、ステンレス釜か鉄釜を使っているかで、ひじきの鉄分の含有量が異なることが示されました。鉄釜で煮熟したひじきは、ステンレス釜で煮熟したひじきと比較して、約10倍鉄分含有量が高くなります。また、鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄では吸収率が高いことが知られています。レバーや赤身肉などの動物性食品にはヘム鉄が多く含まれますので、1つは鉄分が多い動物性食品をとることがよろしいかと思います。もう1つ、ひじきや野菜などに含まれる非ヘム鉄の吸収率を高めるには、ビタミンCを同時にとることが良いとされています。
回答者:農食環境学群食と健康学類 准教授 小林 道

【質問5】お酒を飲むとぐっすり眠れるので体に良いと思うが
(回答)アルコール(お酒)は入眠作用がありますが、アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドに覚醒作用があるので、浅い眠りが増えると言われています。とは言え、睡眠は個人の主観的な体調によるところも大きいので、全員に当てはまると言えません。アルコールもどのくらいとるか、が大切であり、過剰飲酒は、高血圧等の生活習慣病リスクを高めることがわかっています。
回答者:農食環境学群食と健康学類 准教授 小林 道

【質問6】小林先生が間食も低栄養予防に効果があるとおっしゃっていましたが、どのような内容の間食が良いか、オススメや量などを教えていただけますか?
(回答)同じ間食でも、野菜や果物をとる人で健康に好影響があるとの報告はありますが、推奨される量については、研究途上です。また、国によって間食をとる頻度や内容も異なるため、間食の健康影響を明らかにするには、まだまだ研究が必要です。少なくとも、1日3食の食事で十分に栄養がとれない場合は、エネルギーを補完する意味で間食をとることは推奨できると思います。そういった場合は、野菜や果物に限らず、過剰にならない程度に菓子等などをとることでもよろしいかと思います。
回答者:農食環境学群食と健康学類 准教授 小林 道

【質問7】各種食物摂取について説明されていましたが、どのタイミング(朝食、昼食、夕食)で摂取するのがその食物に含まれている栄養価を最大に吸収できるのか、またその効果を減少させる食べ合わせはあるのでしょうか。
(回答)食事のタイミングに関する学問の1つに「時間栄養学」と言われる分野がありますが、比較的新しい分野であり、まだまだわかっていないことが多くあります。体内時計という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、例えば日光を浴びて朝食をとることで体内時計のリズムが整うことなどがわかっています。栄養素の吸収等については、BMAL1と言われる夜間に増加する体内時計に関わる遺伝子が脂肪の合成に働くため、夜遅い食事では、身体に脂肪をためこみやすくなると言われています。今後研究が進んでいくと思われます。
回答者:農食環境学群食と健康学類 准教授 小林 道

【質問8】多様な栄養素を摂取しようとすると、カロリーが過多になることがあります。何かコツなどありますか?
(回答)多様な食品をとることによって、食事量が増えてエネルギー(カロリー)や食塩が過多になることはあると思います。エネルギーに限って言うならば、食材を代替えするということがテクニックの1つになるかと思います。例えば、料理で豚バラ肉を使うところを豚もも肉を使えばエネルギーは減らせます。野菜のドレッシングも乳化タイプでなくノンオイルタイプを使用することでもエネルギーを減らすことができます。油脂は重量あたりのエネルギーが多いので代替えや少し減らすなど、工夫しやすいかと思います。あとは主食とのバランスを考えることが重要です。主食以外のおかずが多くなりやすいのであれば、主食の量を減らすことも良いかと思います。一方で、おかずが多いと食塩摂取量も多くなりがちですので、その点は注意する必要があります。品数を少なくして1品に多様な食品を入れることでエネルギーを抑えることも可能かと思います。
回答者:農食環境学群食と健康学類 准教授 小林 道

皆様のご参考になれば幸いです。今後とも本学の市民公開講座を何卒よろしくお願いいたします。