海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)3月 植野耕史さん
掲載日:2022.04.20
海外農業研修
循環農学類(2019年度卒) 植野耕史(Yasufumi Ueno)
農場での研修も残り半分となりました。最近は研修内容に慣れたことで自分の中でマンネリ化を感じてしまっている部分がありました。もう一度研修の目的や目標を再確認して取り組んでいきたいと考えています。
3月は休みを取り、ポートランドへ旅行に出かけました。ポートランドはオレゴン州最大の都市であり、豊富な水資源を活かしたコーヒーやクラフトビールが有名で、自然と融合した住みやすい街づくりが特徴的です。行政の面では消費税がないことが一番の特徴であり、今回一緒に旅行したアメリカ人の同僚によると、近隣の州からブランド物や白物家電を買いに来る人も多くいるようです。
農業生産はオレゴン州の基幹産業であり、特に林業が盛んで、アメリカで生産されるクリスマスツリーの多くがオレゴン州で生産されています。私の同期研修生も何名かオレゴン州で造園分野の研修に励んでいます。また、ポートランドはバラの街としても有名で、今回は開花シーズンと少しずれてしまっていたため見学することはできませんでしたが、International Rose Test Garden という全米で最も歴史ある試験場もあります。
ポートランドは私の住んでいるカリフォルニア州から飛行機で1時間半ほどの距離なのですが、飛行機から降り立った時に植物の植生の違いが顕著に見られました。カリフォルニア州のほとんどは地中海性気候に属しており、1年を通して温暖で降水量が少ないことが特徴です。一方でポートランドは西岸海洋性気候に属しており温度帯もカリフォルニア州と比べると比較的冷涼であり、年間を通して安定的な降水もあるため少し日本と似ているような気候でした。カリフォルニアでは見られない湿度を必要とするシダ植物やコケ類が多く見られ、街の至る所に飾られている草花もバリエーションに富んでいました。
そのような自然に囲まれたおしゃれな街のポートランドでしたが、ダウンダウンの大きなビルの下にホームレスが住んでいたり、ドラッグを使用している人が道路に立ち尽くしていたりと、あらゆるところで街の二面性のようなものや、人々の格差を感じました。ホームレスは新型コロナの影響で爆発的に増加したようですが、やはり大都市におけるドラッグの蔓延はアメリカの非常に大きな問題だと感じました。ドラッグの影響で暴れまわっている人の横を人々が日常の一部のように通り過ぎていく光景は日本人には信じがたいものがありました。このような非日常が経験できることも私自身にとっては貴重であり、これから機会を作ってより多くの場所を訪れたいと思いました。