【開催終了】2021年度 食の講座「生きものと食べもの-生命と食を考える-」における講演内容の質問に回答します。

掲載日:2021.06.01

2021年5月15日(土)に開催いたしました食の講座「生きものと食べもの-生命と食を考える-」にて寄せられた質問について本学教員が回答いたしました。

 

受講者の方へのメッセージ
こんにちは。先日はおいでいただきありがとうございます。いただきました質問に、分かる範囲でお答えしました。お役に立ちましたら幸いです。新型コロナウイルス感染症の感染が続いていますが、北海道はこれから一番いい季節です。どうぞお身体にお気をつけてお過ごしください。

 

【質問1】ブタの乳を飲まなかった理由を教えてください。

(回答)今日のブタはかつて野生イノシシでした。家畜化といっても、乳肉すべてを求めるのではなく、肉の利用が多く、イノシシはその最たるものでした。そのため乳の利用は草食動物のヒツジ、ヤギ、ウシで進んだと思います。そのためあえて、多産で子畜の多いブタは、乳の利用が無かったと思います。ブタ飼育をする特異な遊牧民が現在報告されていますが、その乳利用は無いです。

回答者:農食環境学群食と健康学類 教授 石井 智美

 

【質問2】人が舌のほかに腸でも味わっているという意味はどういうことですか?

(回答)腸は今日注目の臓器で、味を味わう機能を持っていることが報告されています。これからの研究の進展が楽しみです。

回答者:農食環境学群食と健康学類 教授 石井 智美

 

【質問3】欧米メディアがビーガンへの反論をためらう背景はどんなことでしょうか?

(回答)私見ですが、背後にある問題が大きく、肉を喫食する根本に、避けては通れない、生命を奪う行為への後ろめたさが、理論武装を試みても面と向かっての反論を展開しにくくしているのがあるのではと思います。この問題は、私たち個人が考え続けていかなければいけないと思っています。

回答者:農食環境学群食と健康学類 教授 石井 智美

 

【質問4】シルクロードの長い旅で開発された食品はありますか?

(回答)麺の発明は中国で乾麺などにも広がりました。近年、シルクロード地域で様々な餃子系の包んで蒸す、揚げる料理があるのですが、中国ではなく、中央アジア地域で生まれたことにコンセンサスが得られつつあるようです。食の情報の伝播は盛んだったようです。

回答者:農食環境学群食と健康学類 教授 石井 智美

 

【質問5】モンゴルの⾧期広大な戦争で開発された食品はありますか?

(回答)モンゴルの食はシンプルで、食品としては、乾燥させ、長期熟成しない各種乳製品がありますが、あえて戦争がらみで開発された食品は、ちょっと私にはわかりません。
モンゴル軍の兵士は長い行軍中、食事を摂る時間が無い時、乗り換え用のウマとして自家用のウマを数頭連れて行ったことは広く知られています。その血液をウマの負担にならない程度、馬上で飲んでいたそうです。血液は栄養がありますので。

回答者:農食環境学群食と健康学類 教授 石井 智美

 

【質問6】食と寿命の関係について教えてください。

(回答)食は、「個人の属性に関わるもの」であり、近年様々な分野からの研究が盛んで、新しい知見も増えています。
これまで食べてきたものによって、私たちの身体は構成されています。これは遥か昔から変わってはいません。
その内容が多く関与してくるわけで、健康長寿としては食べ物の影響は40%であるとの報告もあります。
食べることは、その内容や、食事を準備すること自体が思わぬストレスになってはいけませんが、「よく噛み、味わい、腹八分目で、蛋白質、炭水化物、脂肪をバランスよく摂る」という、ずっと言われ続けてきたことを守ることが大切と思います。

回答者:農食環境学群食と健康学類 教授 石井 智美

 

皆様のご参考になれば幸いです。今後とも本学の市民公開講座を何卒よろしくお願いいたします。

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