フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

掲載日:2019.12.06

獣医学類2年 砂﨑香恋

色鮮やかな紅葉を楽しんだのもつかの間、一瞬にして秋の季節は過ぎ去っていきました。枯れ葉が冷たい風に拾われ、空に舞い上がっていくのを見るたびに冬の訪れを感じます。

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

リスも冬に備えている様子

11月の報告書では前回の報告書に引き続き、アニマルハンドリングの授業の内容を一部紹介します。その後、アメリカで盛大にお祝いされる一大イベントのサンクスギビング(Thanksgiving)での思い出を振り返りたいと思います。最後に、新たに挑戦した活動について紹介します。

まずはアニマルハンドリングでの主な活動を振り返ります。今月は新たに子牛と子山羊の除角作業と去勢を行いました。それぞれ日にちを分けて行い、動物種によって異なる作業過程、器具、投与する薬剤などの確認を行いました。また、11月中旬に子豚、子山羊、子牛で一斉に発生した局所的な膿瘍の処置を手分けをして行いました。そしてサンクスギビング前には念願のアルパカとラマの実習を行いました。

子山羊の除角作業ではハンドルの付いた除角ワイヤーを用い、子牛ではバーンズ除角器という大きなペンチのような器具を使いました。子山羊は麻酔をかけて完全に力の抜けた状態で除角しましたが、子牛は立ったままの姿勢でバランスを保てる程度の麻酔を効かせて作業を進めました。

子山羊の除角では、私が片方の角を担当しました。同じ班の学生や先生に応援される中、懸命にワイヤーを押し引きして生え始めたばかりの小さな角を綺麗に取り除きました。角が徐々に削れていく感覚が直に伝わってくるのはあまり好きではありませんでしたが、見るだけではなく実際に体験できたことで作業の進め方や処置後の過程を含め家畜動物の管理の大変さを知ることができて非常に良い経験となりました。

子牛の除角では保定を手伝いました。また、作業の一番最初に与える痛み止めの錠剤を飲ませる役割を担当しました。手間がかからず、すぐに飲み込んでもらえたので良かったです。以前子山羊や子羊に同じ錠剤を与えた際には、飲み込むのを嫌がり、口に入れた途端に舌を器用に動かして吐き出されてしまいました。中には飲み込んだふりをしてしばらくあとに吐き出す個体がいたのでとても大変な思いをしました。牛は素直に、むしろ興味津々で錠剤を飲み込んでくれたので安心しました。その後の作業は支障なく順調に進めることができました。

除角が始まり一人が器具を使っている間、私と周りの学生数人で柵に子牛を寄せてしっかりと押さえました。器具が角を挟んだ際、りんごにかじりついたときのようなシャリッという音がしました。作業前に先生から聞いていたのですが、冗談だと思っていたのでまさか本当にそのような音がするとは思っていませんでした。実際に聞いた時はとても驚きました。目を閉じていたらきっと区別がつかなかっただろうと思います。

除角が終わり、最後の作業としてイアタトゥー(耳の入れ墨)をすることになったとき、嬉しいことに一番早くに立候補した私が作業を担当することになりました。イアタトゥーとは片耳の内側中央にインクを塗りつけ、そこを個体識別番号の並んだ横に広いペンチ状の器具で挟み、しばらく押さえたあとに刻まれた数字の上を歯ブラシでこすってインクをなじませるという作業です。器具を挟んだ際に針で点々と小さな穴ができるため、インクが見えにくくなったら耳の外側からライトを照らして番号を確認できます。実際に後日照らしてみたところ、光によって番号が浮き出て見えました。

子牛は除角のときは大人しかったので、イアタトゥーでもあまり動かないだろうと予想していましたが、期待と裏腹に私が器具を耳に挟んだ瞬間暴れ狂い、保定を手伝ってくれたクラスメート数人をなぎ倒しました。周りに支えてもらい怪我なく無事に終えられました。私たちの班の子牛は出血の程度が軽く、作業も早く終えられたので嬉しかったです。チームワークの良さと役割分担をきちんとして皆積極的に動けたことがスムーズに進んだ理由だと思いました。また、お互いに次の作業の指示を確認し合い、声をかけながら協力したこと、誰かに言われる前に一番器具に近い人もしくは一番初めに気づいた人が手を差し伸べて周りを支えていたのが非常に良かった点だと感じました。

子山羊の去勢は除角を終えてからそのまま続けて行いました。麻酔の効き具合に個体差があり、特に私たちの班の子山羊は始めから効きが弱かったので、途中で目覚め始めた時は暴れ始めないかと不安でした。また、後日行った子牛の去勢では私が片方の精巣を取り除く役割を担当しました。この時もいち早く立候補できたので重大な役割をもらえました。器具は子山羊の去勢で使用したものより二回りほど大きく、子牛は体が大きい分力強く挟み、より長い時間握りしめる必要があったのでこの実習は体力勝負でした。すべてが終わった頃には疲れ果てていましたが、身をもって経験できたのでよかったです。

11月中旬に突如多くの動物で膿瘍が確認されました。十数頭の子豚、数頭の子山羊、一頭の子牛で発見されました。子豚の多くは去勢をした際にできた切り傷やその付近、後肢の上部もしくは臀部全体に、子山羊と子牛は除角の処置をした箇所に膿瘍が見られました。子豚は皮膚を切り開いてドロドロとした褐色〜薄黄緑色の膿をすべて押し出し、そこに大きな注射器でヨウ素液を何度も注入して洗い流しました。子牛と子山羊はかさぶたになった部分を柔らかく湿らせてきれいに剥がし、膿を取り除いて消毒しました。処置後は週ごとに動物たちが徐々に回復する様子を観察できたのでよかったです。

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

私たちの実習の様子を見守る羊たち

アルパカとラマの実習は、それぞれに専用のハーネスをつけること、農場内を歩かせること、爪切りをすること、そしてワクチンのブースターを与えることでした。アルパカとラマをクラスメートたちと順に交代して農場内を引いて歩かせました。爪は蹄の先端にV字型に生えており、歩くときには犬の肉球のような柔らかい部分が地面に着くのでとても静かでおしとやかに感じられました。毛はフカフカでまるで全身綿あめでできているような触り心地でした。私はアルパカにワクチンを打たせてもらいました。毛の量が多すぎてなかなか皮膚にたどり着けず、突然床にペタンと座り込んで防御姿勢に入ってしまうため難しかったのですが、どうにか上手く打つことができました。動物園でしか触れ合ったことがなかったので今回実際に触れ合い、連れて歩き、注射をできてとても貴重な経験となりました。

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

この大人しいラマを自由に連れて歩きました

サンクスギビング(感謝祭)の週の休日にはアニマルハンドリングの授業で親しくなったアミリアの家族と過ごしました。ペンシルバニア州の彼女の実家に11月26日から11月30日までホームステイをさせてもらいました。アミリアの多くの親戚と出会い、とても楽しい時間を過ごしました。初めての感謝祭を彼女の愉快な家族と過ごすことができて本当に幸せでした。暖かい部屋に全員集まり、感謝の言葉を一人ずつ述べてお祈りをしてから食事をしました。七面鳥の丸焼き、パンプキンパイ、ピーカンパイ、クランベリーサラダ、マッシュポテトとグレービーソースなど、伝統的なサンクスギビングの料理も堪能できたので良かったです。どの料理もとても美味しかったです。

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

七面鳥の丸焼きとピルグリムに扮した親戚の方との記念写真

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

アニマルハンドリングの授業で知り合ったアミリア

サンクスギビングが終わると多くの家族はすぐにクリスマスの準備を始めるのだそうです。アミリアの家族も毎年クリスマスツリーを家族で探しに行くのが恒例行事だと言っていました。私もクリスマスツリーファームに連れて行ってもらい、家に飾るツリーを一緒に探しました。アミリアの兄弟たちが木を切り倒して家に運び、飾り付けの準備をしました。

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

たくさんのクリスマスツリーに囲まれて感動しました

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

アミリアの兄弟たちが木を切り落としました

アミリアの心優しい家族に出会ってから毎日を明るく、何事もありがたく感じて過ごすことの大切さを学びました。家族、友達、恋人、近所の人たちなど、自分の周りにいるすべての人たちを大切に思うことがどれほど素敵なことかを改めて知ることができました。

さて、最後に今月新たに挑戦したクラブでの活動を紹介します。最も印象に残ったのはβββ(トライベータ)という生物学クラブで解剖をしたこととスキューバダイビングクラブでダイビング体験をしたことです。

生物学クラブの活動の一環としてアカミミガメとアカエイの解剖をさせてもらいました。初めての経験だったので緊張しましたがとても勉強になりました。生物学専攻の学生や教授の話をよく聞いて、時折質問をしながらじっくりと時間をかけて観察できたので良かったです。専門用語を新たに学ぶことができたのと、生物の体の部位の名称を覚え直す良いきっかけとなりました。

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

アカミミガメの解剖

新たに参加したスキューバダイビングクラブで初めてのスキューバダイビング体験をしました。大学のプールを使用して指導員とともに一時間ほど潜水しました。実際のスキューバダイビングで使用する器具の基本的な使用方法、緊急時の対処方法、耳抜きの練習、そしてプールの一番深い地点まで潜水して自由に動き回れるまでの過程を順に行いました。始めは怖いという気持ちが勝ってしまいなかなか深い地点にいけませんでしたが、慣れてくると水中で快適に呼吸をしながら動き回れることに感動し、気づいたときには夢中になって泳ぎまわっていました。時間があっという間に過ぎてしまったのが残念でしたが、スキューバダイビングの面白さを存分に体験できたのでよかったです。ダイビングの資格を取って南国の海で自由に潜水するという幼い頃からの夢を近いうちに叶えようと強く思いました。

また非常に嬉しいことに、このスキューバダイビングクラブで昨年の酪農学園大学の短期留学プログラムに参加していたステファニーと再会することができました。知っている友達がいるととても心強いです。フィンドレー大学では、彼女と同じように酪農学園大学への留学経験のある学生や酪農学園大学の留学プログラムに興味のあるpre-vetの学生と繋がることができるので嬉しく思います。

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

大学のプールで行いました

フィンドレー大学ベケット奨学金報告書:11月

中央にいるのが私です

12月の初めの週は試験期間なので少し忙しくなるとは思いますが、気を引き締めて授業や学内での活動にこれからも積極的に参加したいと思います。来学期の履修登録がほぼ終わりそうなので決定次第報告させていただきます。