タイ・カセサート大学単位互換プログラム報告書(10月分)
掲載日:2019.11.08
獣医学群獣医学類5年 天野 真衣
この留学プログラムは、獣医学類5年の学生5名が、タイのカセサート大学で3ヵ月間にわたり臨床実習を行うというものです。単位互換の交換留学であるため、プログラムに参加する事で休学することなく5年後期の全単位を取得でき、本学に5年後期の授業料を納めることでカセサート大学での授業料は実質無料となっています。今年度は女子学生5名が参加し、共同生活を行いながら実習に勤しんでいます。
カセサート大学獣医学部は同大学の4つのキャンパスにそれぞれ施設を所有しており、私たちは主にカンペンセンキャンパスとホアヒンキャンパスの2箇所で実習を行います。カンペンセンキャンパスはバンコクから北西方向に車を2時間走らせた田舎町にあり、6学部数万人の学生を抱える巨大なキャンパスです。獣医学部は講義棟と実習棟、動物病院、実習農場を兼ね備えています。一方、ホアヒンキャンパスはバンコクから遥か南のリゾート地にあり、小動物専門の大学病院のみとなっています。
9月28日から10月11日の2週間、私たちはVPH(Veterinary Public Health)の実習を行いました。私たちはカンペンセンキャンパス内の犬について統計分析するというテーマを与えられ、毎日キャンパス内をうろつく多数の犬を観察して情報をまとめたり(タイでは犬が至る所を自由に歩き回っている)、敷地内に現れた人に聞き込み調査をしたりしました(英語が通じず互いに混乱することもしばしば)。また、集めた情報を統計分析するため、統計に関する講義をみっちり十数時間受け、最終日に結果をパワーポイントにまとめて発表しました。講義の内容を英語で理解するのは大変でしたが、実際に自分で行動して疫学調査をする事ができ、楽しかったです。
10月13日からはホアヒンキャンパスに移動し、11月8日までの4週間、小動物の臨床実習を行います。私は初めの2週間は内科、後の2週間は外科に配属されます。内科には、循環器、泌尿器、画像診断、神経を専門とする獣医師がおり、毎日異なる先生に付いて、問診の様子を見学したり症例や専門知識についての説明を受けたりしました。病院の機材は日本と比べても何ら遜色なく、先生方は英語が堪能なので、海外で実習を受けるには良い環境だと思います。2週間を過ごしてみて、タイ特有の原虫症、野犬とのトラブルによる外傷、腎臓病に関する症例が特に多いと感じました。
今後の予定としては、現在行っているホアヒンキャンパスでの外科実習を終えた後、カンペンセンキャンパスに戻り、水棲動物、大動物(牛と馬)の実習に参加する予定です。これまでの実習は日本人留学生向けに設定されたプログラムで、学生は私たち5人しかおらず、先生方に質問したり私たちの進度に合わせて実習内容を調整したりしやすい状況でした。しかし今後は、カセサート大学の6年生の学生たちの実習班に混ざって実習する事になるので、より気を引き締めて頑張りたいです。
生活面に関して大きな不満はありませんが、日本での生活と比較すると快適…ではないです。ゴキブリやネズミが部屋に出て戦々恐々としたり、想像より物価が高い上に寮では自炊ができないので、安い食べ物を求めて食生活が乱れたりしています。カンペンセンもホアヒンも寮は2~3人の相部屋で、部屋にはシャワーとトイレが付いています。寮の周りに何もないので買い出しや夕飯の調達が少し面倒です。5人中2人が食中毒になり病院に運ばれたので、水や食事に関しては不安がぬぐえませんが、滞在中にできる限りタイ料理を楽しみたいので、食べたことのないものは果敢に注文する様にしています。週末はバンコクや離島などに出向き楽しんでいます。
カセサート大学の先生方はどんな時も親切に対応して下さいますし、いつも5人で助けあっているので、大きな問題や事故などなく充実した日々を過ごしています。タイの環境に慣れつつありますが、タイで獣医学を学ぶという機会は滅多にない貴重な経験なので、今後も毎日を大切に過ごしていきたいです。