2025年度 アルバータ大学夏季研修プログラム報告書(奥野友真さん)
掲載日:2025.12.02
獣医学類4年 奥野友真(Yuma Okuno)
アルバータ大学夏季研修報告書
私が今回アルバータ大学夏季研修に参加した理由は、将来獣医師として必要となる英語力と多文化理解を現地で身につけたいと考えたためです。獣医学の学びを進める中で、国内だけでは得られない価値観や考え方に触れることの必要性を強く感じるようになり、実際に海外に身を置くことで自分の視野を広げたいという思いが高まりました。海外での生活は初めてで不安もありましたが、その一歩を踏み出すことで大きく成長できると信じ、研修への参加を決めました。
私は2025年9月1日から4週間、アルバータ大学の「Communication Skills for Global Citizenship」プログラムに参加しました。プログラム開始直後はちょうど大学のウェルカムウィークと重なっており、ビアガーデン、ムービーナイト、キャンパスツアーなど、さまざまなイベントに参加することができました。ウェルカムウィークは新入生を歓迎するための一週間で、大学全体が新しい仲間を迎えるための温かい雰囲気に満ちています。私たち研修生も新入生と同じように扱っていただき、積極的に声をかけてくれる学生も多く、初日からカナダのオープンでフレンドリーな文化を感じることができました。イベントを通じて仲良くなった学生とは、その後の授業やアクティビティでも自然に会話が生まれ、英語を使うことへの抵抗が徐々に薄れていきました。
授業は平日の午前8時30分から12時30分まで行われ、SDGs、多文化主義、食文化、環境問題など、幅広いテーマについて英語で議論する形式でした。日本語の使用は禁止され、ランダムにペアを組んでロールプレイを行ったり、4人1組で意見をまとめて発表したりと、主体的な発言が求められる授業内容でした。最初は自分の英語力に自信が持てず、発言することに緊張していましたが、クラスメイトや先生は私の話を遮らず、ゆっくりと聞き取ろうとしてくれました。その姿勢に励まされ、間違えても伝えようとする意欲が強くなり、授業後半には自分から積極的に発言できるようになりました。
午後のアクティビティでは、キャンパスツアーやエルクアイランド国立公園、ウエイストマネジメント施設の見学、博物館見学など、授業で学んだ内容と関連する体験が多く、英語で学んだ知識を実際の場面と結びつけながら理解を深めることができました。特に印象深かったのは、ロッキー山脈ツアーです。ロッキー山脈の壮大な景色や澄み渡る湖を目の前にしたとき、自然の圧倒的な美しさに言葉を失いました。クラスメイトだけでなく、他学類や他大学から参加した学生ともこの旅行を通じて一気に仲が深まり、国籍や背景を超えた関係を築くことができたのは大きな収穫でした。
ホームステイ先は、夫婦と2人の子どもが暮らす4人家族で、ホストファミリーは音楽の先生をしていました。到着初日に「今日は空気がスモーキーだから窓を閉めてね」と優しく伝えてくれたことが印象的で、日常の些細な場面でも相手の安全や快適さを気遣う文化を感じました。夕食は家族全員で食卓を囲み、学校での出来事や子どもたちの話題で盛り上がりました。私の英語がつたなくても、ホストマザーはゆっくり話してくれ、言い換えたり例えを使って説明してくれたりと、理解できるまで丁寧に向き合ってくれました。その優しさに触れて、英語への不安が次第に薄らぎ、家族の一員のように安心して過ごすことができました。
カナダの生活で特に心に残ったのは、人々が日常的に「Thank you」や「I appreciate it」といった感謝の言葉を交わす文化です。どんな小さなことでも必ず感謝を伝える姿勢があり、言葉で相手に気持ちを伝えることの大切さを学びました。日本では当たり前だと思って口にしないような場面でも、カナダでは自然と感謝の言葉が飛び交います。相手を尊重する優しい言葉を交わす文化は、日々の生活を心地よいものにし、人間関係をより豊かにする力があると実感しました。この経験は、自分のコミュニケーションのあり方を見直す大きなきっかけとなりました。
今回の研修を通じて、英語力の向上とともに、多様な価値観に触れ、自分自身の考え方が大きく広がりました。今後はさらに英語力を高め、将来は海外で臨床経験を積み、多文化社会の中で活躍できる獣医師になることを目指しています。アルバータ大学で過ごした4週間は、私にとってかけがえのない経験となりました。この機会を支えてくださったホストファミリー、大学の先生方、スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。


