海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年8月 広井千紗都さん
掲載日:2025.09.02
循環農学類(2024年3月卒)広井 千紗都
8月に入り農場研修が始まってからついに1年が経ちました。ワシントン州の気温は先月と変わらず暑い日が続いていますが朝と夕方は少し肌寒く、そろそろ上着が必要になるのではないかと思います。
今月の作業は牛移動と妊娠鑑定、フェンス作りでした。妊娠鑑定作業は放牧地にいるメス牛を妊娠鑑定をする前日までに小さな囲いのある場所の近くの放牧地まで移動させて鑑定当日にスムーズに動けるようにします。内容は獣医の方が1頭1頭エコーで確認をしてAIをした牛には胎児がオスなら青、メスならピンクのボタンを耳に付けます。またAIではない自然交配のオスは黄色、メスなら白色、それ以外の牛には緑のボタンを付けます。緑のボタンの牛は鑑定時期が早く胎仔が小さすぎて確認できなかったか受胎できなかったかの2択に分かれます。緑のボタンの牛は肥育場に運ばれて一定期間後もう一度検査をし、胎仔がついていなかった場合は肥育に回すそうです。ワーカーの方たちは今年は例年よりも牛が少なかったのでそれほど忙しくはないと言っていましたが、1日に約300頭の鑑定を獣医の方が連日ほんの数秒で迅速かつ確実に実施されておりその高い技術に感銘を受けました。
妊娠鑑定作業が終わった後は少し余裕のある日々を過ごしいつものように牛を放牧地から放牧地へと移動させていました。19日には後輩の研修生がやってきてついに私が先輩として仕事を教える立場になりました。新しい研修生が来てからの作業はフェンス作りでメキシカンと一緒に作業をしていました。私自身今までフェンスを作ったことがほとんどなかったので教えられることは少なかったのですが、メキシカンに教えてもらいながら木のポストを設置するために深い穴を掘ったり、フェンスポストドライバーという10㎏~20㎏の重い道具を使って地面にポストを打ち込んだりと1週間以上かけて大きな放牧地のフェンスを完成させました。日中とても暑かったので熱中症気味になってしまいましたが、無事に完成でき達成感を味わうことができました。
また、今月は隣町でスタンピードというロデオの大会がありました。ボスに誘われて競技を観に行き、チームローピングやブルライディング、バレルレーシングなどのロデオ競技が行われる中、最後に最も象徴的とされるSuicide Raceが行われました。この競技はほとんどの出場者が鞍なしの馬で参加しておりSuicide Hillと呼ばれる傾斜62度の急斜面を一斉に馬で駆け下りた後、川を渡りアリーナまでダッシュするという競技です。一瞬で終わってしまう競技ですがこのために州をまたいで観戦に来ている方も多く、名前の通りとても危険で今まで観戦してきた競技の中で一番衝撃的でした。
農場での研修期間も残り1か月となってしまいました。いろいろな人からいつカリフォルニアに行ってしまうのかと聞かれるたびに自分がここで学べる期間が短いことを実感しています。残り少ない期間ですが新しい研修生とともに気を引き締めて過ごしていきます。