海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年6月 広井千紗都さん

掲載日:2025.07.03

循環農学類(2024年3月卒)広井 千紗都

6月になり、22日にアメリカに来てから1年が経ちました。最近はチェリーの収穫が始まり、たくさんのメキシカンやジャマイカンのワーカーが働きに来ています。リンゴの収穫が始まるときには多い時で4000人のワーカーが来るそうです。また今月は気温が40度近くになる日も増え、そのような日は朝早くから作業を始めて暑くなる前には終わるようにしています。
今月の作業は牛移動と放牧地のフェンスの修理、Scotch Thistleというアザミの一種の除去、馬の運動でした。牛移動は放牧地の中の牛を探し集めて、次の放牧地まで移動させます。牛移動にはハプニングがつきもので、今月は私を含む6人で牛を放牧地から出すためにゲートを通らせているときに1頭が走り出し、結局全頭が目的の放牧地がある方向とは逆に行ってしまいました。道を下って全頭集めて元の道に戻して歩いているときにも道を曲がらずに真っ直ぐ茂みの中に入ってしまったり、柵を潜り抜けて異なる放牧地に行ってしまったりして大変でしたが、無事に放牧地に移動させることができました。あとからボスに聞くと今回は使ったゲートが悪く、もともと牛たちがいた放牧地には他にもゲートはあるので次回は違う場所にあるゲートを使うようにと言われました。私も農場研修が始まって10か月が経ち、たくさんの放牧地で作業をしてきましたが、いまだに初めて行く放牧地があります。これほど多くの放牧地がある中で、すべての放牧地のゲートと水槽の位置を把握しているボスの管理能力にはいつも驚かされています。
放牧地のフェンスの修理では牛が放牧される前に放牧地を囲むフェンスをすべてチェックしてゆるくなっている場所や木がフェンスの上に倒れてワイヤーが切れてしまっている部分など牛が脱走してしまうような場所を見つけて修理する作業をしました。一つ一つの放牧地が広いので基本は馬に乗りながらフェンスに沿ってチェックするのですが、山の中の放牧地なので坂が急だったり馬が入れなかったりするような場所があります。その時は馬に乗らずにハイキングをします。標高が高いことや、歩くと砂地が崩れるくらい地盤が緩いところもあるので坂を滑り落ちたり逆に登れなかったり、小川を渡るために倒木の上を何度も平均台のように渡ったりするなどとても大変ですが、休憩でみんなで話しながらお菓子を食べたりハイキングをしたから得られる達成感もありました。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年6月 広井千紗都さん

フェンスを直すためにハイキングをしました

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年6月 広井千紗都さん
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ハイキング中に見つけたクマかヤマネコの爪痕

6月下旬は私が今まで研修してきた期間の中でも比較的落ち着いており時間に余裕があったため、日頃対応できていなかった雑務をこなしました。主に私が行ったのはボスの家の前にある放牧地内のScotch Thistleの除去と死んだ牛の骨やその他ゴミの回収です。レンジャーに乗って放牧地をチェックし見つけ次第スコップで掘り起こしてゴミ袋に入れて処分します。植物全体に鋭いトゲがあり皮の手袋をしていても時々トゲが貫通して指に刺さります。この鋭いトゲが原因で牛も馬も食べず、成長が早い植物なので花が咲くとたくさんの種を飛ばして生育範囲を広げてしまいます。根も太く掘り出すのが大変でしたが範囲が狭いうちに除去することができました。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年6月 広井千紗都さん

放牧地に生えていたScotch Thistle

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年6月 広井千紗都さん
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すべて掘ってゴミ袋に入れました

その作業を2時間ほどした後に馬の運動を行いました。牛移動の作業がないので馬たちの体力維持のために汗をかくまで運動させます。アリゾナにいる間も同じように馬を運動させていましたが、今回は私が今まで乗ったことない馬や1年ほど誰も乗っていなかった馬もいたので少し大変でした。しかし回数を重ねるごとに馬の癖も徐々に分かってきてそれぞれ十分な運動をすることができ、自分の乗馬のスキルも上がったような気がしてうれしく思いました。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2025年6月 広井千紗都さん

Turkeyの羽を見つけました

28日には新しい研修生がアメリカに到着したとの知らせを聞きました。今は昨年の私と同じようにBig Bend Community Collegeで学んでいると思います。あの時から1年経ったと考えると時間が過ぎるのがとても速く感じます。次の研修生は8月中旬に配属予定です。私がこの農場で研修できる期間も残り3か月しかありません。この研修が終わった後にやり残したことがあったと後悔が残らないように疑問に思ったことは聞くなど積極的に行動していきたいです。