2024年度 野生動物講座「クマはなぜ都市にあらわれるのか?人口減少時代の自然との向き合い方」における講演内容の質問に回答します

掲載日:2024.06.17

2024年5月11日(土)に開催いたしました 野生動物講座「クマはなぜ都市にあらわれるのか?人口減少時代の自然との向き合い方」にて寄せられた質問について農食環境学群環境共生学類 佐藤喜和教授が回答します。

【質問1】クマの嗅覚はどれ程のものでしょうか。デントコーン畑には目もくれず、スイートコーン畑が被害に遭いました。

(回答)嗅覚は非常に鋭いと言われています。数km先からでも匂いを嗅ぎつけることがあります。デントコーンも好んで食べますが、スイートコーンの方が甘いですから、その違いを匂いで嗅ぎ分けることは可能だと思います。

【質問2】野生動物(スズメやカラスも含め)が冬期に好物をどう摂取しているか知りたいです。

(回答)哺乳類は基本的には嗅覚で、鳥類は基本的には視覚で食べものを探していると思います。

【質問3】クマが駆除された後、どのように処理されるのでしょうか?テレビでOSO18の軌跡を見て本州でOSO18の肉が飲食店で出されたことに驚きました。

(回答)
民法で、野生動物は無主物(持ち主がいないもの)とされており、最初に手にした人が所有権を持つと考えられています。ただし、野生動物の捕獲自体には鳥獣保護管理法による許可が必要です。捕獲後の個体の扱いは地域によって異なりますが、捕獲者が自由に処理できる地域もあると思います。OSO18の例のように、肉や毛皮を販売する方もいると思います。札幌市ではそのようなことはなく、研究試料採取後は焼却処分しています。

【質問4】クマ鈴はどこまで効果がありますか?

(回答)クマは鈴の音を聞いて、人が接近したことを認識します。ほとんどのクマは、その後逃げたり隠れたりして人と出会わないように行動します。ですから、鈴をもって山に入ることは遭遇回避のための有効な方法です。
ただ一部の個体については、例えば人と出会った場合にリュックサックを置いて逃げ、リュックの中から食べものを得た経験をしていたり、人のいたあとに弁当やお菓子やジュースなどのゴミを食べた経験がある場合などは、人に近づくといいことがあると学習しているので、鈴の音を聞いて接近してくることもあるかもしれません。こうしたクマはごく一部で、人に近づく危険なクマがいる、という情報が出ているかもしれません。そうした情報がある地域には行かないことが一番です。