マレーシア海外自然環境実習報告書(岩田さん)
掲載日:2024.05.16
環境共生学類3年 岩田 麻衣(Mai Iwata)
2024年2月16日から3月21日まで、海外自然環境実習がマレーシアで行われました。参加学生は、環境共生学類2年生7人、循環農学類2年生1人の計8人でした。実習は、①マレー半島のペナン島や首都クアラルンプールの視察、ボルネオ島サバ州に移動して、②住民参加型エコツーリズムで世界的にも有名なバトゥプティ村でのホームステイ・植林・野生動物観察、本学の提携校である③サバ大学での英語研修等の3つで構成されました。
ペナン島、クアラルンプールの視察
ペナン島では、ペナンヒルの山頂にある自然保護区「ハビタット」に訪れ、熱帯雨林及びそこに生息している野生動物について学びました。名前は忘れてしまいましたが、マレーシアにしか生息していないリスや鳥類、爬虫類を見ることができました。巨大な蜘蛛やダンゴムシには驚かされました。熱帯雨林は、日本の森林とは種構成やそれらによる雰囲気が大きく異なりました。それを体感することで、生物多様性の豊かさを実感することができました。また、昆虫館であるエントピアにも行きました。植物園のような施設の中に多くの蝶が放し飼いになっており、見渡す限り一面が蝶々でした。そこでは、鯉や亀、イグアナなども一緒に飼われていました。展示コーナーでは、蝶を含め非常に多くの昆虫の標本や生体が展示されていました。私たちは特別に、トカゲやナナフシ等の昆虫を触らせてもらいました。
文化も体験しました。マレーシアでは様々な民族が共生しています。マレー系、中国系、インド系が代表的です。ケロックシー寺の見学、中国の旧正月のお祭り、世界遺産ジョージタウンの視察を行いました。これらの視察を通して、多文化共生を肌で感じ学ぶことができました。日常生活についても、お風呂、トイレ、食文化など日本とマレーシアの文化の違いに驚くことが多くありました。
クアラルンプールでは、JICAのマレーシア事務所に訪問しました。職員の方から、JICAの組織の概要や青年海外協力隊として派遣されるまでのプロセス、マレーシアでの課題やそれに対するプロジェクトのお話を直接聞くことができました。マレーシアはJICAの支援等も使いながら発展し、クアラルンプールのように先進国にも劣らないほどの大都市にまで成長している点が非常に印象に残りました。しかし、発展している地域もマレーシア全域ではなく、バトゥプティ村のようにまだ生活水準が引き上げきられていない地域も存在しているという事実もあることに考えさせられました。マレーシアの国立動物園にも訪れました。規模がとても大きく、多くの熱帯の動物をみることができて、とても楽しかったです。展示場所以外にも多くの植物が生えており、そこには野生のサルや大きなトカゲがいるなど驚きの連続でした。
サバ州バトゥプティ村
サバ州バトゥプティ村では、キナバタンガン川をボートで移動しながら野生動物を観察したり、熱帯雨林内をハイキングしたり、植林活動をしたりしました。熱帯雨林内に建てられたエコキャンプという小屋でも過ごしました。夜ご飯を食べて人気がなくなった後、人の残飯を求めてジャコウネコが現れることもありました。現地の方に聞くと、ジャコウネコは高頻度で現れるそうです。夜、目をつぶると木々の音、野生動物の鳴き声等、熱帯雨林内の生命の息吹を感じました。このような経験は、エコキャンプならではだと思いました。ここでの滞在中に、ボルネオ島のBIG5と呼ばれるテングザル、ホーンビル、クロコダイル、オランウータン、そしてボルネオゾウ全てを見ることができました。
ボルネオ島では現在、パーム油(植物油)の原料となるアブラヤシのプランテーションが大きな問題となっています。パーム油への高い需要を背景として、プランテーションが拡大されることにより、野生動物の生息地が失われています。一方で、プランテーションにより生計を立てている人がいることも事実です。そのため、プランテーションをなくした方が良いと簡単に言うことはできず、人にも野生動物にもより良い策を考えていく必要があると感じました。今回、私たちが滞在した時期に、野生のオランウータンやボルネオゾウを見ることは難しいと現地のガイドさんから聞いていましたが、今回、それらを全て実際に見ることができて、とても嬉しかったです。もちろん、他の多くの野生動物、昆虫を実際に観察し学ぶことができました。
バトゥプティ村では、ホームステイもしました。ホームステイ先の家族は私たちをとても温かく受け入れていただきました。マレー料理を振る舞っていただき、現地の方と同じように手で食事もしました。手で食べるのは難しかったですが、とても美味しかったです。
村の若い人たちとはバレーボールをして親睦を深め、小さな子どもたちとは、おんぶしたり鬼ごっこをしたりして仲良くなりました。最終日には、村の方々が伝統的な音楽と踊りを披露してくれました。私たちも伝統的な衣装を身にまとい、音楽や踊りを体験することができました。とても充実した楽しい日々でした。帰国後も、村の若い人たちとはSNSを通して交流が続いています。もっとコミュニケーションをとるために英語とマレー語を勉強したいと思っています。今までは語学の勉強に対するモチベーションは高くありませんでした。しかし、実際に現地にきて現地の方々と交流をすることで、語学を学ぶ理由がわかったような気がします。
サバ大学
実習の最後は、サバ大学での研修でした。最初に、サバ大学の教授の授業を英語で受講しました。ボルネオ島の植生や野生動物に関する内容で、とても興味深かったです。英語コミュニケーションの授業も受講しました。他の授業もそうですが、特に英語コミュニケーションの授業では自分から発信することが多く、クイズ形式になっていたり、環境問題についてのディスカッションをしたり、英語に親しめる工夫をしてくれていて学びやすかったです。研修を通して、私は英語がかなり話せるようになりました。演習では、ハイキング、植物及び昆虫の標本作り、カフェインやDNAの実験等を行いました。さらに、マレーシアの伝統料理を作って食べたり、サバ大学の中にある人体博物館や水族館に行ったりしました。この時に、英語でサバ大学の先生方とコミュニケーションをとっていたのも、英語で話せるようになった理由のひとつだと思います。サバ大学での経験は私の成長においてとても良い経験で、参加して本当に良かったと思いました。
終わりに
話を聞くのと自分が実際に行くのでは、理解の度合いが全然違いました。マレーシアの文化や自然環境について、現地へ行ってわかったこと、感じたことがたくさんありました。そして、現地へ行って多言語の環境に飛び込んだからこそ、語学力も伸びたのだと思います。このマレーシアでの実習によって、語学の勉強をもっと頑張ろうと思えたり、新たな目標が見つかったりと自分の人生に、大きなきっかけを与える経験となりました。
最後に、現地の方々を含め、この実習をサポートしてくれた皆様、本当にありがとうございました。