2023年度招へい研究者報告会④
掲載日:2024.04.17
2024年2月19日に招へい研究者研究成果報告会を実施しました。報告者は台湾国立屏東科技大学のDr. Chia-Ho Kuo(郭家和、クオ・チャーホ先生)です。郭先生は屏東科技大学の学生時代から本学に短期研修などで来学しており、過去には本学大学院研究生としても研究を続けてきました。今回は招へい研究者として、2023年8月27日から2024年2月29日まで、本学の環境共生学類星野教授のもとで研究を行いました。
郭先生から、今回の研究について“Habitat use and activity patterns of Formosan Black Bears (Ursus thibetanus formosanus) by Iridium GPS telemetry in Yushan National Park, Taiwan”というタイトルでご報告いただきました。台湾固有種である台湾ツキノワグマは、人間の経済活動による自然環境の搾取、山林の開発、生息地の攪乱や違法な狩猟により、その生態が脅かされています。野生動物の管理には生息地を理解することが重要であるため、本研究では玉山国立公園内の台湾ツキノワグマをGPSシステムで追跡し、地理情報システムを用いて生息地の地理的分布、エサとなる植物の植生分布を調査することを目的としました。その結果、台湾ツキノワグマの地理的分布が減少していること、さらに彼らの生息地利用がエサの豊富さや関連する物理的環境要因によって制限されるだけでなく、人間の活動による攪乱も潜在的要因である可能性がある、と結論付けられました。動物の生息位置と環境変動との関係を明らかにするためには、彼らの移動と活動を長期的にモニタリングする必要があるとも述べられ、今後も星野教授のチームと連携して研究を続ける予定とのことで報告を終えました。
報告会後も郭先生を囲んで、台湾の野生動物や人間による狩猟の問題、日本と台湾の法律の違いなど、活発なディスカッションが行われていました。
屏東科技大学とは、これまで50名を超える学生や研究者の交流が活発に続けられてきました。郭先生には本学学生が留学した際にも現地研究室での受入をいつもサポートしていただいています。
郭先生の今後のご活躍をお祈りするとともに、また両大学の学術交流がますます盛んになることを強く願っています。