フィンドレー大学 ベーシック・アニマルハンドリングプログラム2022報告書(山本さん)
掲載日:2023.10.31
2022年度アメリカフィンドレー大学春季研修
ベーシックアニマルハンドリングプログラム活動報告書
獣医学類3年 山本侑海
私は2023年3月14日から4月4日までの3週間、アメリカ合衆国オハイオ州にあるフィンドレー大学にて、ベーシック・アニマルハンドリングプログラムに参加しました。この報告書で実際の活動内容と自身が感じたことやこの留学で得られたことなどをお伝えし、このプログラムへの参加を考えている方への参考になれば幸いです。
私がこのプログラムに参加した理由は留学がしたかったこと、海外の獣医療や動物を取り巻く環境に興味があり、色々なものを見てみたいと思っていたからです。このプログラムは私の希望を両方叶えてくれると思い、参加しました。
活動報告
平日のスケジュール
平日は朝の7時から10時までフィンドレー大学が所有する2つの乗馬の施設に1日おきに行き、午後は12時30分から13時30分は乗馬施設での馬の実習、14時から15時はアニマルサイエンスという生産動物の施設での実習でした。放課後(15時~)は日によって活動がない日と動物関連施設を訪れる日がありました。
朝の実習は乗馬施設で活動している馬学科専攻の学生とペアを組み、干し草を与える人、穀物を与える人、薬を与える人に分かれて作業をし、その後、それぞれの学生がもつ馬の世話を手伝いました。ペアになった学生に教えてもらいながら掃除、馬のケア(ブラッシングや蹄の掃除)、馬具の取り付けなどをしました。また、施設の先生方自ら馬の基本的なホルダー(馬の頭に取り付ける、馬を引くためのリードの様なもの)の取り付け方、ハンドリングの方法や薬の経口投与の仕方、馬の模様・体毛の色の種類を教えてくれ、乗馬も経験させて頂くことも出来ました。馬の獣医師が来ていた時は歯の処置や蹄の手入れの様子などを見させてもらうことが出来ました。
午後の馬の実習では実際に馬を用いて包帯の巻き方、筋肉内注射、採血などを行いました。
生産動物の実習では①羊の経口投与、耳標、ワクチン②山羊の経口投与、局所麻酔の投与、去勢、除角③豚の耳パンチ法による個体識別、去勢、断尾、切歯、鉄剤の注射④牛の去勢を自分たちの手で行いました。最終日にはラマやアルパカと触れ合うことも出来ました。実習では実習の担当の先生についているTA(ティーチングアシスタント)の方が細かく指示をしてくれ、去勢や除角が初めての私でも適切に処置をすることが出来ました。
放課後の活動はホースセラピーのボランティア活動に参加、動物の保護施設、動物病院、ジャージー牛の牧場や馬の保護施設を訪れました。それぞれの施設でお会いした方とお話をする機会があり、様々なお話を聞くことが出来ました。馬の保護施設で見たロバの去勢はとても印象に残っています。
休日のスケジュール
休日は最初の週末は交換留学生として酪農学園大学に来る学生のご家庭にてホームステイをしました。とても良い人たちばかりで家でハンバーガーやクッキーを作ってくれたり色々な場所へ連れて行ってくれたりし、大学とは離れた街の様子やお店の様子などを学ぶとともに、とても楽しい時間を過ごしました。
その後の週末はトレド動物園のバックヤードツアーやフィンドレー大学で行われたコンサートを見に行ったり、トレド美術館に行ったり、他大学のイベントに参加しました。他大学のイベントでは日本の文化を体験するイベントで、アメリカの人から見た日本の文化の映り方を知ることが出来ました。
研修を通じて感じたこと
この研修を通じて感じたことを①研修について②英語でのコミュニケーションについて、の2つに分けて書きたいと思います。
①については全ての実習が学ぶことが多く、とても楽しかったです。1日で得られる情報が多すぎて毎日パンクしそうになりながらも楽しく実習をしていました。馬学科の学生は自分の馬を1~3頭持ち、自分で世話・調教・乗馬練習をしていました。それぞれの学生が自分の馬の性格や得意なこと、苦手なことなどをよく知っており、愛情を持って接している姿を見ることが出来ました。また、馬に関する知識や馬具の取り付けにおいてもよく勉強されていて、例えば、前肢に付けるプロテクターの役割や鞍の位置など一つ一つの作業に対し説明を付け加えてくれ、理解しながら作業をすることが出来ました。アメリカでは馬はペットとしてのイメージが強く、馬学科の学生たちもそれぞれ馬の獣医師、調教師、ブリーダーなどの夢を持っていました。日本では馬は競馬のイメージが強く、それは日本人の想像する馬が出てくる場面で競馬が多いからではないかと思いました。フィンドレー大学の学生のように、教育施設やホースセラピーなど日常生活で馬と関わる人が増えたら日本人の馬のイメージが変わるのではないかと思いました。
生産動物の実習ではまだ酪農学園大学でやっていないことをフィンドレー大学の方法で行うことが出来、今後日本の去勢や除角の方法とどのような違いがあるのか知ることが出来るので楽しみです。実習で教えてくれたTAの方は実習の手順とその処置や作業の意味までを理解していて自分たちとそんなに学年は変わらないのに身についている知識の量に圧倒されました。獣医師志望の方が多かったのですが、自分も教科書なしで今まで学んできた知識を身に付け説明できるようにしないといけないな、という気持ちになりました。
②については英語でのコミュニケーションを現地の人々とすることが初めての私にとって、とても苦労しました。ネイティブの方が話す英語はとても速く、聞き取りに困ることが多々あり何度か聞き返して会話の内容を確認していました。また、自分の話している英語の発音がネイティブの方の発音と異なり、伝わらないことや話したいことがたくさんあっても上手く英文を作れず会話が繋がらない、ということもあり、もどかしさを感じました。もっと英語力があれば仲良くなれたかもしれないと思うと悔しい思いをしてしまいました。その中でもつたない私の英語を解釈して話してくれた方もいて、単語だけでも伝わることもあり完璧に文を作って話す必要がないこと、とりあえずでも何か話すことが大切なのだと気が付くことが出来ました。
次年度以降の参加者に向けて
私が経験したことをもとに、次年度以降の参加者の方へ参考になりそうなことを書きたいと思います。
生活について
大体の一日の流れですが、平日は朝5時に起き、6時半のシャトルバスに乗って乗馬施設に向かい、午後は15時に実習が終わった後放課後の活動または自由な時間でした。宿泊施設はフィンドレー大学の所有するゲストハウスで、参加人数によりますが1~2人で1つの部屋に泊まり、キッチンや洗濯、お風呂は共用でした。
食事は週に一度買い物に行けるのでそこで買ったもので朝ごはんを用意していました。調理器具は一通り揃っていましたが、時間がなくほとんど使わなかったです。昼食はフィンドレー大学の学食、夕食は学食または外食でした。外食は放課後の活動がある日の帰りにハンバーガー店やステーキのお店、ファミレスなど色々な場所へ連れて行ってもらいました。
洗濯は2日に1回程度、女子4人で同じゲストハウスだった為、被らないよう時間をずらしまとめられる日は一緒に洗濯をしていました。洗剤は用意してもらっていたものを使っていました。お風呂はシャンプーやリンスなどを私は日本から持って行って使いました。アメリカに着いてからでも購入することは可能ですが肌が弱い方や日本の物が良いという方は日本から3週間分持って行くと良いと思います。タオルは大中小1枚ずつ支給されたので個人的に使う用以外では必要ないと思います。
服装についてですが、平日はほとんど実習なので汚れや匂いが付いてもいい服と農場は寒いため防寒対策は必須です。土日に着る用の服は少しで良いと思います。靴は履き慣れているスニーカーをおすすめします。それと、一度学長に会う機会があるのでフォーマルな服を1着持って行くことを忘れないようにして下さい。
スケジュールは結構ハードです。上手く時間を見つけて休まないとせっかくの実習に参加出来なくなってしまいます。私は放課後の活動のない日に実習から帰った後夕食の時間まで寝たり、行き帰りのバスの中で寝たりして休んでいました。もしもの時のために常備薬や怪我をした時の絆創膏なども持って行くと良いと思います。
お土産について
お土産について、私はホームステイ先用と抹茶のお菓子をいくつか持って行きました。それでも足りなくてもっと持って行けば良かったと思いました。3週間という短い期間ですがお世話になる人はとても多いです。スーツケースの空きがあるならお土産は多めに持って行くと良いと思います。
英語学習について
英語学習は行く前にやっておくことをお勧めします。私のようにネイティブの方が話す英語に慣れていない人は洋画を見たりしてネイティブの方が話す発音や速度に慣れておくと良いと思います。実習では言葉で理解が出来なくてもデモンストレーションをしてくれることが多いので作業に困ることはないですが、それぞれの作業でしっかりと説明を付け加えてくれるので淡々とこなすだけでは勿体ないと思います。せっかくお金と時間をかけて参加しているので与えてもらえる情報は理解して身に付けてほしいと思います。
最後に
私はこのプラグラムに参加するまで海外へ行ったことがなく、国際線に乗ることから全てが初めての経験でした。苦労したこと、楽しかったこと、全部含めてこのプログラムに思い切って参加して本当に良かったと思っています。この経験を経て、専門分野の勉強に加え、英語学習にも力を入れてまた留学したいと思っています。このプログラムに関わって下さった先生方や職員の方、学生の方、本当にありがとうございました。