2023年度 アルバータ大学夏季研修プログラム 報告書 (中原さん)
掲載日:2023.11.02
アルバータ大学夏季研修報告書
獣医学群 獣医学類4年 中原秋穂(Akiho Nakahara)
私が今回アルバータ大学夏季研修に参加した目的は、自分の中の経験値を増やしたいと思ったからだ。海外で研修を行うことで今までとは異なる価値観を得ることができ、新たな視点から物事を考えることができると考えた。また、留学をする時期として非常によいタイミングであったことも理由の1つに含まれる。私は大学に入学して以来留学に行きたいと考えていたが、コロナウイルスの流行によりプログラムが中止し海外に渡航することが困難であった。コロナウイルスの流行も終息し始めたこのタイミングで留学のプログラムを知ることができ、迷う余地もなく挑戦した。
今回のプログラムでは様々な経験を得ることができた。ホームステイ先での生活、ロッキーツアー、試合の観戦、緊急callなどである。私はカナダで、日本では観ることのなかったアメリカンフットボールやアイスホッケーの試合を観戦した。点が決まるたびに花火が上がったり、アイスホッケーの試合中には何度も選手たちが乱闘するなど、海外のスポーツにおける盛り上がりには驚いた。
また電車の中にランチバックを置き忘れ、それを探すために公共機関の本部に緊急連絡をするなど、非日常な体験をした。電話越しの英語は聞き取ることが難しく、リスニングに少し自信がついてきた頃に心を打ち砕かれるという小さい挫折を経験することができた。
そして研修中盤の時期には大学の研究農場を見学した。そこでは過去に足寄町で酪農コンサルタントの仕事をされていたのち、アルバータ大学で修士を取得、その後エドモントンに拠点を置いてお仕事をされている方に農場の案内をしてもらった。私は大動物に興味があるので乳牛を管理している現地の方のお話を聞けたことは、非常に学びになったと考える。日本とカナダの飼養方法の違い、人々の乳の需要率、第一次産業に対する政府の取り組みなど、日本を出たからこそ理解できた彼女の経験・考えを得ることができた。
そして何よりこの研修で1番印象に残ったことは、ホームステイ先での生活である。渡航前はリスニングに苦手意識を持っていたので、1ヶ月間のホームステイは正直不安があった。しかしホームステイ先のホストマザーは温かく私を迎えてくれ、私の拙い英語を理解しようと努力してくださった。プログラムのイベントが終わり、家に帰ると、ホストマザーが用意してくださったカナダ料理を同じテーブルで一緒に食べ、その日に起こった出来事を話した。その時間があったからこそ、英語を話すことへの恐怖心が薄れ、リスニング力も上がったと感じる。
また、様々な経験をする中で感じたことがある。それは、現地では前向きな考えをする人が多いということだ。会話の中で相手のことを褒める回数が非常に多く、話し手も自分の意見を話しやすくなる。ホストマザーに悩みを相談したときに、“どんな選択をしたとしても全てあなたの経験になるし、未来をより良くする第一歩だよ“という言葉をいただいた。もちろん日本にいる時も前向きな言葉で励ましたり、励まされたりすることはたくさんあるけれど、これほどまっすぐ心に響く言葉をもらったことは初めてで、今まで自分が求めていた答えであると気づいた。これからは私自身も恥ずかしがらずに自分の思いをはっきりと伝えられる関係性を築いていきたいと感じた。
今回の研修を経て、世界には、日本にはない生活環境や価値観が存在していることを実感した。安全性への不安や、人々の優しさ、豊富な多様性など渡航前に抱いていたカナダへの印象が大きく変化した。これからは国内はもちろんのこと、世界のニュースにも関心を持ち、今自分が何を学び、何をすべきかを考えていきたいと思う。また現地に行くことによって自らの英語力の不足を改めて感じさせられ、英語への、特にリスニングへの向上心が高まった。この留学によって上達した英語力をさらに高めていく努力も怠らず、将来はグローバルに活躍できる人になることを目標にしたい。留学を通して学んだ経験は言葉に表すには非常に難しく、実際にその土地の空気を吸い、現地の人々と関わることでしか得られないものもある。海外で生活をする大変さや楽しさ、雰囲気を感じたい人はぜひ自分の足で研修に行ってみてほしい。