フィンドレー大学ベケット奨学生報告書:3月

掲載日:2023.05.12

みなさんこんにちは。獣医学類2年の加藤みゆなです。
最近は冬時間から夏時間への移り変わりのため、1時間早まった日々に慣れるのに苦労しています。もう3月になり、フィンドレーで過ごす時間も残りわずかになってしましました。残りの時間を自分のできる限り最大限活かして大切に過ごしたいと思います。

フィンドレー大学ベケット奨学生報告書:3月

運転中に見つけた野生のガチョウ

フィンドレー大学ベケット奨学生報告書:3月

餌場に入る子山羊

先月の予告通りまずはspring breakについてお伝えしようと思います。
私はPre-vet clubが運営する、春休みに五つの獣医大学を回るツアーに参加しました。
アメリカでは獣医になるためには、4年制の大学でAnimal ScienceやBiology専攻で学位を取った後にvet schoolを受験しなければいけません。その倍率はかなり高く、オハイオ州立大学では受験者数1800人の中から面接に進めるのが600人、実際に入学できる人は140人であったと話していました。そのためpre-vet生(獣医大学に入ることを目指している学生)は獣医大学に入るためにクリニックで働いたり、動物園で働いたり、動物に関する経験やボランティアを最低でも200時間、リーダーシップを養うためにクラブのpresident(部長)を行ったりTA(teacher assistant 授業で先生のお手伝いをする生徒、給料も払われます。) を行う生徒もいます。また、GPAも3.5以上など成績と経験、両方を兼ね備えた生徒のみが獣医大学に入学し、獣医師になれるのです。またvet schoolも4年制であるため、アメリカでは獣医師になるために最低でも合計8年かかります。

さて、前置きはこのくらいにして実際の旅を振り返っていこうと思います。
今回の旅では Long island university, Virginia-Maryland university, North Carolina State University, The University of Tennessee, そしてOhio State University を訪れました。約55人、合計40時間、大型バスに寿司詰めになって移動したのは大変でしたが今となっては良い思い出です。
また、獣医大学だけでなく、reptile land(爬虫類の動物園)とHershey world(チョコレート工場)も訪れました。
まずは旅路で撮った写真をご紹介します。

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Pennsylvania州にあったWegmansというスーパーで買ったお寿司です。実際にお客さんの目の前で作っているため新鮮なのでしょうか?アメリカで一番美味しかったお寿司です

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初日に泊まったホテルで偶然開催されていたMonster Truck の様子です。バイクに乗って空中で決めるジャンプの出来具合によって評価されるようでした

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先月に引き続き、動物園で見たヒョウモントカゲモドキです

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アルビノのアメリカンアリゲーター

フィンドレー大学ベケット奨学生報告書:3月

リクガメは英語でtortoiseというそうです。Turtleはウミガメです

続いて獣医大学の様子をお伝えします。写真を掲載できたら良かったのですが、一般公開されるこの報告書に掲載してよいかがわからなかったため、主に文章でお伝えできたらと思います。
まずはやはりキャンパスの大きさや充実した設備に感動しました。解剖室では各グループ用に先生が行っている作業が映し出されるテレビが設置されていました。また、馬のリハビリのために設置されたプール(馬の腹側が浸かるぐらいの低めのプール)、牛を保定するための機械(これはフィンドレー大学にもあります)に回転機能が加わってより処置を行いやすくしたものなどがありました。一番印象的であったのは、テネシー大学にあった獣医学生が病院自習をするためだけに建てられた、小動物病院とは別の、しかし同じくらいの規模の建物です。一般の動物に向けて開放はされていなかったと記憶していますが、スケールの大きさに驚きました。他にもオハイオ州立大学では各診察室にマジックミラーが設置されており、クリニカルローテーションをする獣医大学四年生の様子を確認できるようになっていました。各大学により設備の充実度は異なりましたが、全体的にはかなり良い印象を持ちました。個人的にはNorth Carolina State Universityと The University of Tennesseeがかなり良かったと感じています。

違いだけでなく、酪農学園大学との共通点もいくつか見つけることができました。実際に動物に触れる前にモデルを用いて採血や保定のやり方を学ぶことや、大動物病院の作り(スケールは違いましたが、作りは似ているのではないかと感じました)、手術室がガラス張りになって見学できるようになっていること、カウンセラーが大学に常時滞在していることなどです。テネシー大学にて私たちに話をしてくれた心理士の方の話は大変面白かったです。悩みを相談するためだけでなく普段から生徒と雑談をすることで信頼関係を構築する、生徒にとって心地よい場所を作ることで悩みを早めに見つけ、解決することが可能になっているのではないかと感じました。他にも興味深かった取り組みとしては生徒のストレス面を考えて、評定ではなく合否のみを知らせるようにしたり、以前は正常を全て教えた後に異常な場合はどうなるかを教えていたものをmedical schoolに倣って臓器ごと、部分ごとに注目して正常と異常を教える方針に変化させていたことです。
ネットで検索して記事を読むだけでは感じることができない各大学の雰囲気や、獣医学生の様子を学ぶことができて大変良かったと感じています。日本に帰った後も、酪農学園大学でまずは個人的に実践できることから良い方向に改善させていきたいと感じました。

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North Carolina State Universityに展示されていた象の骨格標本

3月17日から19日はアラブの文化を学ぶためにミシガンのDearborn を訪れました。Arab American National Museumやアラブの料理、モスク訪問、イエメン人と共にボランティアを行い、楽しみながら様々なことを学ぶことができました。博物館ではAsan American の授業で習ったことを用いてアジア人とアラブの人の移住の様子を比較することができ、より興味深く感じました。また、道中でアラブに属する22カ国の中から3カ国の食べ物を味わいました。

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イエメン料理

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イラク料理

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レバノンの伝統的な朝ごはん

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イエメンのコーヒーとお茶。アラブではご飯の後にお茶を飲むことが一般的だそうです

どの料理も絶品で、米が主食であるアラブの国に親近感を持ちました。お気に入りはイエメンのコーヒー屋さんで食べたチーズの入ったケーキです。

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モスク訪問

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博物館にて。アラブの国々では共通するアラブ語がありますが、日常生活の中でその言語を使うことは少ないそうです

今回の異文化交流を通して一番印象的だったのはボランティアを共にしたムスリムの方に「優しく接してくれてありがとう。」と感謝の言葉をいただいたことです。イエメンでは目以外を覆うヒジャーブ(スカーフ)が一般的であるため、怖がられることが多いとお話しされていました。アジア人だけでなくムスリムの人々も同じように差別をされた経歴があり、それが今も続いているのだと改めて思い知らされました。今回の経験を通して自分が旅したことのある国は全て英語が主流言語であると気づき、自らの多様性の少なさを痛感し、アラブにもぜひ訪れてみたいと思いました。

酪農学園から来た5人の学生とともに、小動物病院や、乳牛農家の見学、馬のセラピーを行っている施設や動物園にある病院の見学などを行いました。どこの施設でも多くの刺激をもらい、このような獣医になりたいなと思える獣医師さんにも出会うことができました。詳しいことは短期留学生の留学報告書をぜひ読んでみてください。

ここまで読んでくださりありがとうございます。
また来月お会いしましょう!