海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2月 矢方祐維さん

掲載日:2022.03.11

海外農業研修報告書 2022年2月

循環農学類(2019年度卒) 矢方祐維(Yui Yakata)

今月は日本と同様にネブラスカにも寒波が襲来しました。最低気温が-20度にも達し、厳しい環境での作業となりました。

2月に入ってもPorcine epidemic diarrhea(以下PED:豚流行性下痢)ウイルスが完全には収まっておらず、現在では生まれてくる子豚を健康状態に関わらず全て屠畜しています。そして今月は母豚の衰弱死も多く見られました。死んだ家畜たちを豚舎の外に出す作業が寒波のおかげで非常に厳しいものになりました。

今月から新たな仕事を任されるようにもなりました。タブレットやPCを使った農場でのデータ入力です。その日に行われた種付けや分娩、母豚の健康状態、子豚の死因などその日農場で起きた出来事を記録していく作業です。その他、母豚の状態、これまでの平均出産頭数、出産予定日などを皆に共有するためのインフォメーションカードの印刷、設置も担当するようになりました。

今までは農場の1エリアにとどまって作業することが多かったのですが、現在は農場を縦横無尽に駆け回って作業しております。また全ての工程に携わるため、今農場でどのようなことが起きているのか把握することができるほか、今まではあまり理解できていなかった養豚の生産システムの一連の流れを学ぶことができております。

他の従業員とのコミュニケーションの機会も増えました。私は記録要員のためその日何をどうしたのか、その担当の従業員に問わなければなりません。今まで、他の従業員たちがどのような仕事をしていたのか具体的に分かっていなかったため語学力の向上の助けとともに、養豚ではどのような仕事が必要となり、どういう風にそれを実行するのかのよい学びの機会となっております。

そしてこの仕事は私に適しております。私は人並み以上には機械類を扱うことができるため、このデータの入力、管理、修正などのデスクワークは非常に楽しく行えております。私自身の英語力の向上もあると思いますが、作業工程の記憶スピードも機械を使った作業においては他の作業と比べ明らかに速いです。

こうした農場の管理の作業を任されたのは、信頼されてのことだと思いますので、その期待に応えるべく日々の仕事に取り組んでいきます。

悲しいことに今月は2人の研修生が帰国しました。彼らは私の兄のような存在でした。半年間しか共にいることができませんでしたが、彼らとの日々は非常に貴重なものとなりました。彼らと共に暮らしをしていて感じるのは、彼らは家族や仲間をとても大切にします。そして直接的に物事を伝えてくれます。そして私は感情表現をストレートに出してしまうことが多々あります。しかしそれもまた一つの個性として彼らは受け入れてくれます。こういう言い方をすると今まで私にかかわってくれた方に対して失礼に当たるかもしれませんが、私はこういった感覚を日本にいるときは感じることができませんでした。異文化、異国でひとり暮らしているから心境などに変化があり、日本では感じ得られなかった感覚を得ているだけなのか、それとも日本はあまり直接的な感情表現を行わないため私が感じ取れていなかっただけなのかはわかりませんが、私は人の心やその場の空気を察する能力が低いため、アフリカンに限らずメキシカンやアメリカンたちの表現、表情の豊かさ、仲間との一体感、自分の考えや感情を表に出してもよいこの環境は私にとってとても過ごしやすいです。

別れがあれば出会いもあります。今月は新たにフィリピンから研修生がやってきました。今までアジア人は私ひとりであったため少し心強いです。いい機会ですので、スワヒリ語に加えタガログ語も少しずつ勉強していこうと思います。

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・アメリカ)2月 矢方祐維さん

祖国に帰った研修生たちと

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寒波襲来