ホーム > 一覧 > 国際交流 > 体験談 > トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム(カナダ・ガーナ) 活動報告書(1月)

Topics

掲載日:2018.02.07

トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム(カナダ・ガーナ) 活動報告書(1月)

獣医学群獣医学類3年 前田沙優里

今月は、研究室での活動と人種の壁についての考察を書くことにした。
始めに近況を報告すると、今までは語学学校での英語学習が主な生活の中心だったが、現在は繁殖の研究室での活動が中心だ。週2回、朝から昼にかけて牧場に行き、昼過ぎからはラボでの活動。週1回の大学院生、教員向けのレクチャーと研究についてのミーティング。週4回で、夜は2時間の英語クラスで英語の勉強という生活スタイルである。

1.ラボでの活動

 では、実際にラボでどのようなことをしているのか紹介しよう。私がお世話になっている研究室はReproductionで、人工授精や体外受精などを扱っているのだが、私が現在関わっている研究は牛の精子である。決められた時間に決められた飼料を決められた量、雄牛に与え、精液を採取。その後ラボに持ち帰り、いわゆる「精液の質」を測定、データを集める。以下にその順序を説明する。(なお、牧場での活動は次回以降の報告書で述べようと思う。)

①精液をBuffer液で20倍に希釈。
 その際、精液やBuffer液、用いる器材全てを37度に維持させる。これは、精子が死滅しないようにするために重要だ。また、希釈する際はこれら液をよく振ってから行う。
②光学顕微鏡に繋いだコンピュータソフトを利用し、精子の濃度や運動性を測定。
 具体的な記録内容は、精子採取日、採取した精子量(ml)、測定日時、精子濃度(billion/ml)、Motility:運動性のある精子(%)、Progressive Motility:運動性のある精子の中でも特に前進し、動きの速い精子(%)、その他必要な情報を適宜。
 このとき、MotilityとProgressive Motilityに10%以上の大きな差が出た場合は、測定ミスの可能性があるのでもう一度調べなおすこととなる。当然だが、このProgressive Motilityが大きい程、「授精しやすい精液」ということである。なお、Motilityには他にどのような精子が含まれているかというと、運動性はあるが速度がゆっくり、回転運動している、運動性はあるが精子の一部が破損などである。

image001

写真:記録用紙。一番下のVolume(μl)はV1=(1000μl)×(1×10^6cells/ml)/cells/mlに代入して求める。


③Flow Cytometerを用いてデータを集める。
精液の原液と希釈した精液それぞれに蛍光抗体を入れ(赤:青:黄=3:2:1)、20分光が当たらないところに置く。その後、Flow Cytometerを用いて機能性精子濃度を測定する。ちなみに、Flow Cytometerとは、微細な粒子(この場合は精子)を流体中に分散させ、個々の粒子を光学的に分析する装置のことである。
このデータの主な着目ポイントは2つ。目的細胞(=精子)の蛍光データ(定量的なデータのグラフ)と、カラー表面抗体解析データ(特定集団の細胞でどういう表面抗原の細胞がどのくらい発現しているのかを4つの区分に別けて陽性率(%)を示したグラフ)である。難しいことを書いたが、簡単に一言で表すと、これらデータによって死んだ精子がどのくらい、生きた精子がどのくらい精液に含まれているのかが一目で分かるということである。
④精子をプレパラートに固定し、標本作成。

2.人種の壁

 カナダに来て早くも4か月が過ぎた。ここでは一度も人種差別を目撃したことがない。しかし、時間が経つに連れて気付いたことは、カナダ産まれのカナダ人の友人がなかなかできないことである。私のカナダ人の友人は、アジアからの移民によって現カナダ人であるパターンか、日本が大好きでしょうがない!というタイプの人、日本やその他アジア圏での居住経験があり、アジアが大好き!という極端なタイプの人に限られている。そもそも私はあまりカナダ人との出会いがないともいえるわけだが、長くカナダに住んでおり、現地の学生と混じって高校、大学と進学、カナダの移民権を取得したアジア系の知人ですら仕事都合などではない個人的な友人としてのカナディアンは1人と言っていたので、なかなかアジア人がカナディアンと仲良くなるのは難しそうである。大学であたりを見回しても、図書館等の勉強会を除いて、アジア系、白人、アフリカ系、などとそれぞれ別れて固まっているような気がする。その一方で、日本人である私は、アジア系と出会う機会があると一瞬で会話が広がり、別れる頃にはもう友人という間柄になっていることが多々ある。人種は違っても、留学生どうしも仲良くなりやすい。シェアハウスの同居人であるカナダ人の未だに挨拶すら向こうからしてもらえないのと正反対である。(ちなみに、このハウスメイトには過去に白玉だんごを作って渡すなど親睦を深めようと試みたのだが、一向に深まることは無かったので諦めた。)
 ここで考えたことは、仲良くなるにはどうしても「人種」が関係している気がしてならないということである。過去に日本で、北海道大学に留学している学生と話す機会があったのだが、彼らは日本人の友達がなかなかできないと嘆いていた。語学学校で仲良くなった中国人の友人も、過去に日本に留学経験があり日本語が流暢だったが、日本人の友人ができなかったらしい。つまり、「人種」による友人関係構築はカナダだけではなく、日本にも存在しており、恐らく他の国でも同様なことが言えるのではないだろうか。
 なぜ、友人関係に人種が関わってくるのか。恐らく、「共通点」「相手への興味」の問題だろう。日本でも、友人になるきっかけは、共通のサークルやクラブに所属していたり、同じ出身地だったり、といった具合で共通点が見つかることが多い。こういった何かしらの共通点がふと見つかって話しかけているうちに自然と相手への興味が沸き、話が広がっていき、気付いたら友人になるといった感じではないだろうか。ここカナダには様々な人種がいる。そのような大きな空間の中では、同じアジアっぽい顔立ちというだけで十分な共通点なのである。また、人種は違っても留学生というだけで、これもまた共通点。出身地を聞くことから会話が始まるのだ。さらに、日本出身というと特にアジア出身の人達からは興味を持たれやすい。日本のアニメファンだったり、第二外国語として日本語を選択した経験があったり、旅行で行ったことがあるなど彼らの様々なことが背景となり、日本への興味が私という個人への興味へと移行する。私自身もまた、相手の国に旅行した経験だったり、その国の食べ物が好きだったり、という自分の背景をもとに会話が広がり、国への興味から個人への興味となる。このような、双方に興味が沸くプロセスが大切なのだ。カナディアンとの友人関係構築に関してだと、まず共通点が見つかりにくい。よって私の方から話しかけるきっかけがなかなか起こらない。仮に話す機会が生じても、相手が日本やアジアに全く関心がなかった場合、私個人への興味に発展しにくい。よって、相手が日本やアジアに興味のある一部のカナディアンだった場合に、それがきっかけで会話が起こり、個人レベルでの興味関心に発展し、友人となるのだ。
 つまり、「人種なんて関係ない、皆仲良く暮らしている。」と一見思えるカナダでも、やはり人種の壁が存在している。なにせ、趣味等といった細かい共通点よりも肌の色や母国語、留学生といった大きな区分の共通点が先に目につきやすい環境なのだからしょうがないのだ。しかし、これは悪いことではないと思う。日本にいたら気付かないが、ここに居るとアジア人というだけで立派な共通点なのである。同じように箸を使い、似たような作法があり、同じような容姿を持つ。これに気付くことができて、私は本当に良かったと思う。そして、日本にいる多くの留学生たちは恐らく今の私がカナディアンの友人を作りたいと思うのと同様に日本人の友人を作りたいと思っているのだろう。彼らから日本人に話かけるのは難しい。なぜなら日本人ばかりのコミュニティーの中で自分との共通点を見つける(または日本人側に見つけてもらう)ことは非常に難しいからだ。ならば、私たち日本人側が相手に興味がある場合、ちょっと勇気をだして話かけることが重要なのではないだろか。恐らく相手が迷惑などと感じることはないのだから。

酪農学園大学社会連携センター(2018.02.07)|お知らせ, 一覧, 体験談, 国際交流, 現地レポート(留学)

このページのTOPへ戻る